連載 SaaSベンダーの取組みを追う
第8回
CTC IaaS事業を拡大へ
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、クラウド・コンピューティング分野サービスの拡大に乗り出した。
今回CTCが発表した新サービスの「テクノ・キュービック・プロ」は、CTCのクラウドサービスである「テクノ・キュービック」が提供していたインフラ層の上位レイヤーとなる、OSやデータベースといったミドルウェア層の開発・運用をサービスとして提供するものだ。
テクノ・キュービックは、国内では珍しいIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)として昨年4月にサービスをスタートしたもので、現在までに約30ユーザーが利用し、約300台の仮想サーバーを稼働させている。
IaaSとは、サーバー、ストレージなどのハードやネットワークを含むITインフラを、インターネットを介して提供するサービスで、SaaS基盤を提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)事業に参入する大手ITベンダーが多い国内では、きわめて珍しいサービス形態といえる。
CTCは、インフラ構築に強いSI会社としてユーザーから高い信頼を得てきた。また、仮想化サーバー統合サービス「VMプール」を提供するなど、クラウド・コンピューティングの重要アーキテクチャーである仮想化技術にも早くから取り組んできた実績・ノウハウがある。
データセンター事業グループの村上政志氏は「旧CRCソリューションが抱えていた膨大なデータセンター・リソースとCTCの持つインフラ構築や技術的な強みを生かす方策を考えた末、IaaSが最も合ったビジネスモデルだという結論に至った」とテクノ・キュービック誕生の経緯を説明している。
現在テクノ・キュービックを利用しているユーザーの、約75%がSaaS、ASP事業者だという。IaaSという特性から、ある程度のITリテラシーを持ったユーザーにとっては、自由度の高いクラウド環境が利用できるのがメリットのようで、今のところプロフェッショナル・ユースのクラウドサービスとなっているのが特徴だ。
さらに、新たにサービスを開始するテクノ・キュービック・プロでは、ミドルウェア層の導入設定から運用サービスまでを提供することになる。これにより、従来のテクノ・キュービックではハードルの高かったユーザーを取り込めるようになる見込みだ。
日本情報産業新聞2009年8月3・10日合併号
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