06 10/26
輝けITベンチャー
第7回
潟Zキュアブレイン
成田明彦 社長 |
独自の認証技術を開発
会社設立に際してさまざまな市場調査を行い、目をつけたのがすでに米国では大きな社会問題に発展しつつあったフィッシング詐欺。その頃「日本はまだ社会問題という認識がない」状況にあった。そこで、ベンチャー企業としていち早く対策ソフトを市場投入することで「先駆者としてのシェア獲得を狙った」そうだ。
「インターネット利用者の安全を確保することがセキュアブレインの責任だと考えている」という。その背景には、「セキュリティ製品は多くが海外製品、日本発のセキュリティソフトがないと日本を守れない」との思いがあった。特に、だれもが容易に安全に利用できるソフトが必要と考え製品化を進めた。
そこで開発した製品が「PhishWall(フィッシュウォール)」。文字通りフィッシング詐欺に遭わないようにするもので、現在アクセスしているホームページが、本当にその企業が発行しているものかどうか、改ざんされていないかどうかの真正性を判断する。従来はなかった新しいWeb認証技術といっていい。このPhishWallは企業向けだが、個人向けにワンクリック詐欺対策機能も備えた「Internet SagiWall(インターネット・サギウォール)」を用意している。
画面に信号と国旗、ドメイン名を表示
具体的のその機能と使用方法を見てみよう。
まず、サイト運営サーバー側に「PhishWallサーバ」を構築する。利用者はフリーソフトの「PhishWallクライアント」をパソコンにダウンロードする。PhishWallサーバーは、サイト運営企業の環境・ポリシーに合せて2つの認証方法から選択できる。認証用のファイルセットをWebサーバーに置くだけの「PhishWall EX認証」と、専用サーバーを設置して独自のプロトコル・ポートを利用する「PhishWall認証」だ。
PhishWallでは、URL/IPアドレスの確認に加え、PhishWallサーバとPhishWallクライアントの間で認証情報をやり取りし、PhishWall対応の正しいサイトにアクセスしたときに青色の○を3個表示する。「非常に分かりやすくした」ことで、利用者は一目でアクセスしているサイトの真偽を知ることができる。この時、色信号に加え、国旗とURLを同時に表示するので、例えばいきなり海外の国旗が出てくれば「これは怪しいのではないか」と判断することができる。PhishWall未対応のサイトは「PhishWall」のロゴを表示しており、国旗やURLが出れば「認証だけでは見分けることができない場合に有効」というわけだ。
一方、個人向けのInternet SagiWallは、「未知・既知のフィッシング詐欺やワンクリック詐欺を高い精度で検知する技術を開発した」という。「ヒューリスティック検知エンジン」がそれで、すでに特許出願している。サイトの情報をあらゆる角度、例えばJavaスクリプトの内容、リンク情報、サイトそのものの情報などから分析し、その結果を判断する。当然、日本語の詐欺サイトにも完全対応している点が海外製品と一線を画すところだ。
こうした企業向けと個人向けの2モデルをベースに、「ISPなど多くのサイト運営者や利用者が集まるところには非常に有効なソフト」とセールストークは忘れないが、他にはない独自技術なので、ISPだけでなくデータセンターなどでも活躍の場が出てくることは間違いない。今後はこれらを武器に、「日本から世界に発信するセキュリティ・ソリューションカンパニーを目指す」とワールドワイドでの活躍を胸に描く。
新たな挑戦は続く
セキュアブレインの新たな挑戦がすでに始まっている。「ウイルスの自動解析技術を開発しました」という。新種のウイルスが誕生したときに、ウイルス対策ソフトのワクチンを待っている間に生じる“ゼロアワー”の危険タイムに対応しようというものだ。「数分で新たな脅威に立ち向かうことができる」というスグレモノだ。アイデア次第で「これからニッチマーケットでナンバー1になる」活動を展開する予定だ。
《企業データ>》
株式会社セキュアブレイン
設立 2004年10月
資本金 1億4600万円
代表取締役社長兼CEO 成田明彦(なりたあきひこ)
住所 東京都千代田区麹町2-6-7 麹町RKビル4F
http://www.securebrain.co.jp