ITサービス会社の2010年度新卒採用を調査

09 4/15

 ITサービス企業の2010年度(来年度)の新卒採用は「今年度並み」か「今年度より減少」する会社が多いことが分かった。情報産業新聞社が独自に調査したもので、ITサービス産業にかかわる大手企業から中小企業を対象に100社からの有効回答を得た。採用を「減少する」と回答した会社には、「今年度の採用枠を広げたことから来年度は例年通りに戻す」という会社もあるが、多くは「経済不況によるユーザーのIT投資抑制が採用にも影響を与えている」という結果となった。逆に「不況だからこそいい人材を確保するチャンス」と採用枠を広げる積極的なところも出ている。

採用は減少傾向に−一部上場企業が減速へ

 今回の調査は、ITサービス会社100社に対して、2010年4月期の新人採用枠について今年度に比べ「増加」「変わらず」「減少」するか、また、研修期間は何カ月程度かなどを聞いた。回答会社の内訳は、一部上場企業が30社、二部上場企業が6社、JASDAQ上場企業が20社、東証マザーズ上場企業が1社、非上場が43社となった。これを資本系列別にみると、メーカー系SI会社が18社、ユーザー系SI会社が28社、独立系ITサービス会社が54社となっている。

2010年度採用は それによると、2010年4月期の採用数について、今年度より「増加する」と回答したのは9.0%、「変わらない」が44.0%で、半数以上が採用に積極的であることが分かった。一方、「減少させる」と回答したのは40.0%で、「未定」としたのが7%あった。企業規模別では、上場企業の場合は「増加する」が5.0%、「変わらない」が23.0%、「減少させる」が25.0%で、「未定」は4.0%という結果となった。なかでも、一部上場業に「減少させる」と回答した企業が多く、JASDAQ組は「変わらない」との回答が多かった。

 メーカー系は「減少させる」企業が多く、ユーザー系は「変わらない」が多い。独立系では、「増加する」が4社に対して、「減少させる」が23社、「変わらない」が22社となった。独立系の場合は経済不況時でも将来に向けた人員確保策を優先させていることが伺える。

不況時こそいい人材を採用するチャンス

 増加の要因として、「今年度の採用者数が通常の採用枠より減らしたので来年度は元に戻す」という企業や、「不況だからこそいい人材を確保したい」と前向きなところもある。減少させると回答した企業の中には、「今年度の入社数が多かったので、来年度は例年並に戻すため」というところもあった。調査の中で、採用の目標人数に達している企業が多いが、独立系中堅・中小は知名度が低いことから、採用確保に苦戦しているという印象が強い。

 採用後の研修期間について聞いたところ、全体では、「1カ月以内」が17社、「2カ月」が27社、「3カ月」が39社で、「4カ月」が9社、「4カ月以上」が6社、「個別対応」が2社となった。多くは2カ月-3カ月の研修を終え、その後は適正を見ながら各事業部への配属とOJTとなっている。基本技術は研修で学べても、ユーザーの業務やそこで使用される言語やアプリケーションなどはOJTが最適であることを物語っている。一方で、e―ラーニングなどを使用した入社前の事前研修を行う企業も少なくないなど、「社会生活および基本技術の事前勉強をしてもらい、研修期間を短縮させたい」という思いが伝わってくる。

 

研修期間