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輝けITベンチャー


第6回
スマートワイヤレス
嶋田浩之 社長
 情報漏えいや不正な資金の流用などで企業内のセキュリティへの意識は年々高くなっている。しかし、強固なセキュリティを保つには何重ものセキュリティシステムを多額な投資で構築するというイメージを持つ企業が少なくない。
 特に人が出入りする入退室管理などではICカードを使った入退室管理システムを中心に普及しているが、ここにさらに精度の高い生体認証に注目が集まっている。
 その中でも、指紋認証や静脈認証は銀行のATMに採用されるなど徐々に浸透しはじめている。ところが、この指紋認証や静脈認証にかかるコストは高額だったり、精度が低いなど導入時に問題を抱えるケースも珍しくない。
 
顔認証に特化

スマートワイヤレスは顔認証という生体認証に取り組んでいる。
同社はNTTで認証製品の評価などを行っていた研究者を中心に設立され、赤外線を使った顔認証システム「フェイスガードIRジャニター」を開発、提供している。
同社の嶋田浩之代表取締役によると「顔認証は一時的に注目が集まったが精度の低さから下火になっていった」という。顔認証を含め、生体認証の製品は大手ベンダーの高価なものが多いことから精度の高い、かつ、低価格な顔認証システムを開発した。

誤認証率は0.01%!

同社の顔認証システムは一般的な顔認証システムの誤認証率が平均で1%に対し、0・001%となっている。特徴的なのは他社が可視光線方式を使っているのに対して赤外線を使っている点だ。
赤外線は仮に暗闇でも顔の凹凸で判断でき、化粧や写真などで誤認証を起こすことがない。また、双子などの場合にも誤ることなく認証できる。
現在、同社入退室管理システムとして販売を行っているが、すでに車や携帯電話への搭載なども予定しており、顔認証の技術を核として様々なアプリケーションに対応していく予定だ。

接客支援サービスへの応用も視野に

特に引き合いが来ているのは監視カメラとセットにした認証システムだ。「度重なる不審な事件などで学校や町内会など一般企業以外からの問い合わせが多い」という。
これらはセキュリティとしての利用方法だが、同社は新たに店舗の監視カメラと組み合わせてセキュリティ効果を上げつつ、接客支援サービスなどへの応用も可能になると分析している。
現在は検討段階だが、顔認証の精度を向上させることで、読み取った認証情報とデータベースを連携させて属性情報や買い物履歴など販売員の接客の向上などにつなげるなど用途の拡大に向けて動いている。すでにこれらの技術がNTTに認められてパートナーとなっている。
NTTの本社の入り口にも同システムが採用されており、関連するNTTグループへと販社を広げている。設立から5年、高い技術力を武器に急激な伸びを見せるベンチャー企業の一つだ。

≪企業データ≫
スマートワイヤレス
資本金1億4974万円
東京都千代田区神田神保町2-2-34 千代田三信ビル5階
代表取締役 嶋田 浩之(しまだひろゆき)
URL:http://www.smartwireless.jp/index.htm