連載 SaaSベンダーの取組みを追う

第10回

ネットスイート 本格的拡販体制整う

 ネットスイートの田村元社長は、先日発表した富士通との提携を受け、SaaS型ERPの本格的な拡販体制が整ったことを明らかにした。「今回の富士通および富士通ビジネスシステム(FJB)との提携が、当面の重要戦略となる」としており、この提携により市場拡大への期待が高まっている。


田村社長は、SAP出身という自らの経験に照らし、現在のERP市場について「潮目を感じる」と語っている。「所有を強制しない提供モデルを求めるユーザーが確実に増えている」という。
  自社の主力製品であるSaaS型統合ERPについては、2種類の需要があると読んでいる。「もっとも期待できるのが、導入意欲はあるものの金額が折り合わず統合型ERPの導入をためらってきた中堅企業」で、もうひとつは「パッケージ型ERPからのリプレース需要」だという。
  田村社長の期待を担っている富士通は「ネットスイートを自社型番として提供することになる」という。つまり、富士通やFJBが直接販売するにとどまらず、富士通製品を販売しているパートナーに対しても供給するため、販売経路が一気に広がる。社内体制としては「富士通へのサポート体制を強化させていく」ことを方針として打出している。
 ネットスイートは、他にも販売パートナーを抱えているが、「富士通が本格的に拡販することでSaaS型ERPという市場が耕されることになるので、他のパートナーにとっても決してマイナスにはならないはず」と踏んでいる。

 そのため、富士通との協業体制による拡販戦略は、ネットスイートの国内市場における今後の成長を左右する最重要戦略に位置付けられる。

 

  

日本情報産業新聞2009年8月31日号

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