連載 SaaSベンダーの取組みを追う

第4回

日立 SIとの両輪で展開〜基幹系レベルの品質が必要に

 日立製作所は、企業向けビジネスクラウド戦略として、アプリケーションを提供する「ビジネスSaaS」、セキュアなSaaS環境を提供する「ビジネスPaaS」、SIを含めたハイブリッド型の「クラウド活用SI」の3パターンを用意している。
 「重要な企業システムにクラウド技術を適用し、既存の基幹系システムと同レベルの品質でサービスを提供するのが、日立の考えるビジネスクラウドとなる」とプラットフォームソリューション事業部事業推進本部の土屋宏嘉本部長は説明する。
 ビジネスSaaSの核となるのが、ECなどのビジネスインフラとして提供してきた「TWX―21」だ。すでに多くのビジネスユーザーを抱えるTWX―21のサービスメニューを拡張する形で、新たなSaaSアプリケーションをマルチテナント形式で提供していく。TWX―21はアジアを中心とした海外にも展開しているため、多言語対応によるグローバル展開が可能となるのも強みだ。
 ビジネスPaaSは、グループ会社である日立ソフトウェアエンジニアリングも発表しているIT基盤提供サービス「セキュアオンライン」を拡張した形で、セキュアなITインフラを月額利用で提供するものだ。パッケージソフトを持つベンダーのためのSaaS基盤としての利用も可能で、「HITACなど、既存のSIパートナーからの参入も大歓迎」となっている。
 クラウド活用SIでは、企業内にクラウドを構築する内部クラウドモデルや、自社運用と外部クラウドを組み合せたハイブリッドモデル、そしてオンプレミスをSaaSに移行するクラウド移行モデルが想定されている。
 日立は本来の強みであるSIを、クラウド型サービスとの両輪と考え、ビジネスクラウドを推進していく考えだ。

  

日本情報産業新聞2009年6月15日号

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