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連載 「ITスキルの向上を目指して」


株式会社スキルスタンダード研究所 代表取締役
特定非営利活動法人 ITSSユーザー協会 専務理事
高橋秀典

第3回
ユーザ企業用スキル標準(情報システムユーザスキル標準:UISS)登場!〜その1


財団法人日本情報システムユーザー協会(JUAS)で「ユーザ用ITSS」策定作業が進んでいると、具体的な内容が日本情報産業新聞(2005年4月4日付け1面)紙面で紹介された。同年3月の日経コンピュータ特集記事の中でも少し触れられていたが、敏感に気付いた方は少なかったようだ。紙面での記事を要約すると次の通りである。

・ 政府発表の「IT政策パッケージ2005の中で調達スキル標準」を2005年度中に策定すると明言。
・ JUASにおいて「ユーザ用ITSS」策定の方針作りが終了し、作成に取りかかる。
・ 経済産業省も積極的に関与している。
・ ユーザ企業の中で、ITSS利用方法に関して温度差がある。

なぜ「ユーザ用スキル標準」?


2004年末に経済産業省からJUASに働きかけがあり、JUASの方々の素早い動きによって委員会が発足した。この必要性は、筆者も早くから感じていた。2004年12月15日に、永田町都市センターホテルでITSSユーザー協会主催の「ITSSユーザーズ・カンファレンス2005」が開催された。イギリスのSFIAから来ていただいたロン・マクラーレン氏の基調講演や、ワーキン・グループの成果発表、外部からのセミナーなど大盛況で、のべ1600名の方の参加となった。筆者もITSSユーザー協会の専務理事として講演したが、普通にお話しするだけだと面白くないので、講演の中で当時経済産業省の情報処理振興課・平山係長、筆者がコンサルティングしたファイザー社・山光部長、内田氏、慶應義塾大学の大岩教授からそれぞれコメントをいただき、その映像を流した。ファイザー社のコメントの中に、ITSSはITベンダに焦点を当てられた内容になっており、ユーザ企業にはかなり過不足がある、ユーザで使えるものについて話し合っていく場を作るべきだ、というくだりがあったのである。

ユーザ企業の危機感について

ユーザ企業との議論から強く感じたのは、ITサービス企業側よりかなり問題意識と危機感を持っていて、その理由は次のようなことからである。

・ 経営者からIT部門に「IT戦略」の提案や実施を強く求められ始めた。
・ 要求に応えて行くには、以下の大きな問題を解決しなければならない。
−これまでの経緯でITベンダへのアウトソースを進めており、スキルを持つ人材が内部に少ない。
−RFPまでベンダにお任せで、さらに提案された金額を予算化しているケースもある。
−IT部門のメンバの多くは、IT部門に配属されることを期待していなかった。したがって、今の仕事を自分の将来に結びつけるのが難しい。

このような問題を抱えていて、如何に経営戦略にあった「IT戦略」を立案・実施して行くかを、真剣に捉えている。また一方で、IT部門の方々のモチベーションをどのように上げ、パフォーマンスを最大限にして行くか、それぞれ個人の将来計画にどう結びつけて行くか、ということも重要な課題である。さらに、上司部下のコミュニケーションに、何をどのように使用するかも現実的で大切な課題である。
(次回2に続く)


UISSキャリアフレームワーク(クリックすると拡大) 出典:経済産業省

スキルスタンダード研究所 http://www.skills.jp/
ITSSユーザー協会 http://www.itssug.org/

著者紹介 たかはし ひでのり
1993年に日本オラクル入社。研修ビジネス責任者としてオラクルマスター制度を確立させるなど活躍。最終的にシステム・エンジニア統括・執行役員を経てオラクルを退社、2003年12月にITSSユーザー協会を設立。翌年7月スキルスタンダード研究所を設立。IT人材育成に関係する協議会の各種委員を歴任するなど、ITSSの第1人者として知られる。2006年5月にIPA賞人材育成部門受賞。

第9回 ITSSとコンピテンシー 〜解かねばならない関係とバランス
第8回 「ITスキルを身につけよう!!」

第7回 「経営戦略からIT戦略へ」〜プロジェクト成功の鍵は「ITスキル標準」〜
第6回 ユーザー企業用スキル標準登場!その4
第5回 ユーザー企業用スキル標準登場!その3
第4回 ユーザー企業用スキル標準登場!その2
第3回 ユーザー企業用スキル標準登場!その1
第2回 活用サイドから見たバージョン2
第1回 「IT」って何