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連載 「ITスキルの向上を目指して」
株式会社スキルスタンダード研究所 代表取締役
特定非営利活動法人 ITSSユーザー協会 専務理事
高橋秀典
第4回
ユーザ企業用スキル標準(情報システムユーザスキル標準:UISS)登場!〜その2 UISS誕生の背景
2006年6月下旬に、経済産業省より「情報システムユーザースキル標準(UISS:Users'
Information Systems Skill Standards)」が発表された。先行するITスキル標準の考え方や構成などを考慮に入れて策定されている。2005年の委員会に引き続き、2006年今回の策定委員会も筆者はオブザーバとして参加した。
UISS策定の背景として、ユーザ企業の情報システム活用の現場における課題が挙げられている。
(以下UISSの概要説明からの抜粋)
@ これからのIT投資においては、「業務プロセスの可視化」と「情報システムの再構築」を、最も重視している。
(業務そのものと、それに伴うシステムの見直しの必要)
A大手企業になればなるほど、フル・アウトソーシング(=空洞化)が進んでいる。
(質量ともにIS機能が低下しつつあるIS推進体制)
B CIO、または、その機能が欠如している。
(ITガバナンス機能の不在)
C 実現したいシステム案件の仕様を明確にできぬまま着手、発注している。
(要件定義能力の低下)
D 実現すべきシステム案件コストを自ら積算できないため、システム予算を、ベンダからの見積書を転用して作成している。
(分かりやすいシステムコストのメジャメント不足)
E ITを活用した業務改革の推進を求めている。
(浸透しないIS機能整備と組織力向上を結び付ける意識)
これらの課題が掲げられる原因は、ビジネス環境の変化や情報技術の進展に、企業として継続的に対応できるための「IS機能」が体系立って整理されておらず、企業内で、「経営層」、「IS部門」、「IS活用部門」それぞれの立場のISに関わる役割が明確でなかったことに起因する部分が大きいと考えられる。
同時に、コスト明確化の旗印のもと、IS機能の多くを、情報子会社を含むアウトソーサに切り出す傾向が強くなり、システムの発注者、活用者としての意識が薄れ、本来、自らが担うべく役割すらシステムベンダに依存する様になったことなどが大きな要因と考えられる。
UISSの目的
さらに、UISS策定の目的として、以下が挙げられている。
(UISSの概要説明からの抜粋)
UISS策定の目的は、各社の「IS機能」の現状から、向かうべき姿に変革させる上で、何が不足しており、そのためにどうするべきかを、情報システムの観点から、明確に表現できる指標を提示することである。
今回の成果は、各企業の置かれた経営状況や情報化推進体制に応じて、また、関与する推進者の立場によって、次の様な目的を実現し得ると考えている。
@ 企業全体として、IS機能の重複や抜けのない効率的な情報化推進体制の実現。
→内部統制の体制整備に向けたIS機能の見える化と体系化によるITガバナンスの徹底
A ISに関与する人材についてのポートフォリオの把握と将来像の設定
→経営者自身、および、経営層に報告をする立場の方々の視点から、ISを活用した機動力の現状と目標確認
B アウトソースする際の(システムベンダへの発注時における)役割分担の整合性確保と効率化
→IS機能一覧から、発注する機能を抽出してまとめられることで、容易な要件の仕様化を実現
C IS部門要員の役割・キャリアパスの理解という観点から、組織の生産性向上とISに関与する個人のモチベーションアップ
→組織力向上に向けた、IS関与人材の重要性確認と、育成計画、調達計画の立案
UISSとは
UISSの定義は次の3点である。
@ 情報システムが、企業活動に直接的な影響を及ぼす重要インフラとなったことを踏まえ、企業における情報システム機能を経営的観点から体系的に整理したもの。
A 従来、可視化されていなかった情報システム機能を、業務レベルで洗い出し、その業務に求められるスキル、知識を一覧化したもの。
B ユーザ企業固有の業務である調達、評価、利活用、に関する職務とその能力も定義したもの。
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著者:高橋秀典
スキルスタンダード研究所 http://www.skills.jp/
ITSSユーザー協会 http://www.itssug.org/
著者紹介 たかはし ひでのり
1993年に日本オラクル入社。研修ビジネス責任者としてオラクルマスター制度を確立させるなど活躍。最終的にシステム・エンジニア統括・執行役員を経てオラクルを退社、2003年12月にITSSユーザー協会を設立。翌年7月スキルスタンダード研究所を設立。IT人材育成に関係する協議会の各種委員を歴任するなど、ITSSの第1人者として知られる。2006年5月にIPA賞人材育成部門受賞。
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