連載 SaaSベンダーの取組みを追う

第5回

セールスフォース・ドットコム すべてをSaaS化〜基盤ビジネス最初の成功者に

 セールスフォース・ドットコム(SFDC)は、SaaSプラットフォームの概念を最初に打出したベンダーといえる。2005年には、早くもSaaSプラットフォームとしての「アップ・エクスチェンジ」を発表、パートナーがセールスフォースCRMとマッシュアップすることのできるSaaSアプリケーションを開発する環境を整え始めている。以来、SaaSプラットフォームまたはPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)という概念が国内でも定着し、複数のSaaSプラットフォームベンダー出現につながっている。
 SFDCのSaaSプラットフォームに対する概念として、国内の他のプラットフォームベンダーともっとも大きく異なるところが、「すべての情報システムをSaaS化していくというコンセプトのもとに製品開発を進めていること」(榎隆司執行役員)だという。パッケージソフトとの共存、サーバーとの共存を視野に入れた他社の取り組みと違い、徹底したオン・デマンド化を目標に新たなサービスを投入してきている。
 これは、ソフトをサービスとして提供することを目的として設立されたSFDCだからこそ可能な考え方で、オン・デマンド化が進めば進むほど、従来ベンダーは既存領域が侵食されていくのに対し、SFDCのビジネス領域は一方的に広がっていくというビジネスモデルになっている。
 現在同社のプラットフォームは、クラウド基盤の「フォース・ドットコム」として、CRMに限らないさまざまなサービスの実行基盤として活用されている。マーケットプレイスであるフォース・ドットコム・アップ・エクスチェンジには、公開されたAPIで開発されたあらゆるベンダーのアプリケーションが登録されており、マッシュアップアップすることによる新たなソリューション開発を容易にしている。

  

日本情報産業新聞2009年6月15日号

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