社会経済生産性本部がJAPAN-ID制度の導入を提言

09 2/16

 社会経済生産性本部の情報化推進国民会議は、行政機関の枠を超えて国民が1つの番号で年金の請求や住所変更の届出、納税などのすべての電子行政サービスを受けられる個人認証基盤「JAPAN-ID」を提言した。同会議は、昨年度に住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を活用した国民背番号制度として「JAPAN-ID(仮称)」の創設を提言しており、今回は情報漏えいに対する安全性に優れた方式として「日本型セクトラルモデル(分野別識別番号方式)」を考案し、実現の可能性を高めた。同会議は野田聖子・内閣府特命担当大臣に直接提言を行い、政策への反映を訴えた。

 現在日本の行政機関では、個人を管理する際に行政サービスごとにIDを付番する「セパレートモデル」方式を採用しているが、同方式は先の年金未払い問題に見られるように管理が面倒で利便性が低い。このほかに米国などが採用している国民に1つの横断的なIDを付番する「フラットモデル」もあるが、情報漏えい時のリスクが高いという側面がある。
  日本型セクトラルモデルは、これまでどおり分野別にIDは発行し、それらのIDをひも付けして一括管理するJAPAN-IDを新たに採用する。これにより、国民は現在行政機関で使用している個別の番号制度をそのまま利用しながら、1つのIDですべての電子行政サービスを利用できるようになる。
  例えば転居で住所が変更した場合、転居先の自治体に転入届を提出するだけで、その情報を他の行政機関に自動的に伝えることが可能になる。仮に情報漏えいが起きても影響は単独の行政サービスの範ちゅうにとどまり、被害を少なくできる。
  JAPAN-IDを発行・管理する独立組織として「JAPAN-IDセンター」を設置する。同センターではIDの個人認証を行い、不正利用を監視する役割も担う。
  また、カード面に本人写真とあわせて「氏名」「生年月日」「性別」「住所」の基本4情報を記載した身分証明書用の「JAPAN-IDカード」を国民に無償で交付する。
  提言ではこのほかに、法整備ならびに罰則規定の制定と、JAPAN-IDの運用を監視するとともに国民からの相談対応を行う「JAPAN-ID監視機構」の設置、誰が自分のIDにアクセスしたかを把握できるようにすることも必要としている。


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