京が世界最速スパコンの座を維持

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 理化学研究所(理研)と富士通が共同開発しているスーパーコンピューター「京(けい)」が、世界のスパコン性能ランキング「TOP500」の2011年11月版において世界1位の座を獲得した。LINPACKベンチマークで10.51ペタFLOPSの京速を達成し、2位の中国製スパコンに約4倍の性能差をつけて6月版に続き連覇を達成した。事業仕分けなどで物議をかもした京速スパコンは無事公約を達成するとともに、富士通が東京大学から京をベースにした京速スパコンシステムを受注し、ビジネスへの展開も始まっている。

 京は、計算速度が毎秒1兆回の10ペタFLOPS(京速)到達と、演算性能において世界一の達成と2つの目標を掲げ、国の基幹プロジェクトとして開発が行われてきた。
 途中で日立製作所とNECがプロジェクトから離脱し、事業仕分けでプロジェクトが凍結されかけるなどの障壁を乗り越えて、まず6月のTOP500で世界最速を達成し、今回のベンチマークで京速越えの10.510ペタFLOPSを記録して2連覇を達成した。
 京は来年6月にシステムが完成し、11月に共用が開始される予定となっている。今回の記録は、最終構成となる864きょう体でCPU数が8万8128個の構成によるもので、実行効率も93.2%と高い数値を記録している。
 そのほかのTOP500ランキングを見ると、2位は中国の天津スパコンセンターに設置されている「天河1A」で、演算性能は2566テラFLOPS、3位が米オークリッジ研究所に設置されている「ジャガー」で、演算性能は1759テラFLOPSとなり、京と2位以下との間には大差が付いた。日本勢では東京工業大学の「TSUBAME(ツバメ)2.0」も5位に入った。これまでランキングで1位の常連だった米IBM社のマシンは、10位が最高だった。

  また富士通は、東京大学から新しいスパコンシステムを受注した。京に活用した技術を向上させ、4月の完成時の理論演算性能は、京を超える11.3ペタFLOPSを予定している。リプレース前は日立のシステムを採用していたが、京との親和性も踏まえて富士通のシステムを導入することになった。これまでは同社にかかる負担も大きかったが、今回目標達成と同時にビジネスへの効果も現れた形となった。

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