富士通が要件定義手法を体系化

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 富士通は、システム開発における要件定義手法を「Tri―shaping(トライ・シェイピング)」として体系化した。富士通の年間2万件におよぶプロジェクトで得た経営や業務に関するノウハウや、30年以上の要件定義適用経験に基づき、BABOKなどの国際標準も取り入れて「要求形成手法」「業務形成手法」「業務仕様形成手法」の3種類の手法を開発し、手順書や分析シートなど15種類のツールにまとめた。4月より、富士通グループの3億円以上のプロジェクトに適用される。さらに今後は手法の公開も予定している。

 要件定義とは、企業のビジネスをITに落とし込む際に、経営層や現場、システム部門が求める条件を定義する工程を指す専門用語で、要件定義をしっかりとしておかないと、システムの開発途中で作り直しが発生する。
2000年台の中盤には、要件定義があいまいだったことで手戻りが発生し、赤字化するというシステム開発案件が多発し、多くのシステム開発会社が赤字を抱えたという時期があった。
それ以降、富士通は要件定義の品質確保への取組みを強化し、今回これまでの取組みの集大成を「トライ・シェイピング」としてまとめた。
トライ・シェイピングは、「要求の立案・決定」「業務プロセスの分析・設計」「業務仕様の作成」と3つの切り口でそれぞれ手法を開発し、15種類のツールに落とし込んだ。
「要求形成手法シェイピングBR」は、昨年開発した「新要件定義手法」をもとに開発したもので、ビジネス改革の目的や実現する手段といった要求を見える化し、精度を高めるための手法で、業務改革の目的や手段が経営や業務にもたらす効果を明確にし、業務プロセスやシステム構築における具体的な質の高い要求を決めることができる。
「業務形成手法シェイピングBP」は、シンプルで柔軟な業務プロセスを設計する手法で、複雑・肥大化した業務プロセスを分析し、業務の美紀となる部分を見極めてプロセスを簡素化する。
「業務仕様形成手法シェイピングBS」は、業務ルールを正しく洗い出して記入の漏れや抜け、あいまいさをなくすための手法で、業務部門と開発者の誤解をなくしてシステム構築の手戻りを防止する。

このほかにも、要件定義を固めていく際に、経営、業務、情報システム各部門で合意形成するためのマネジメント手法も開発している。

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