東北地方太平洋沖地震の影響が明らかに

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 11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響がIT業界にも広がっている。NEC、富士通、日立製作所といった大手ITメーカーをはじめ、複数の情報サービス会社が義援金の提供を表明、ベンダーは自社製品の無償提供を続々と発表するなど、日々支援の幅が広がっている。また、原子力発電所の事故に伴う電力供給不足による対応として、データセンターを持つ情報サービス会社はサービス継続に対する対応を強いられている。被災地ではICT環境の復旧が進められているが、電力や食料事情などが不十分ななかで、多くの要員を受け入れることもできないという状況が続いている。

 交通や電力といった社会インフラ利用が制限されるなか、IT業界でも新製品発表の延期や、セミナーやイベントの休止・自粛が相次ぎ、影響を及ぼしている。
 日本マイクロソフトは、重要な通信インフラとなっているネットワーク回線への負荷軽減や、節電への配慮などの措置として、3月15日に予定していたWebブラウザーの新盤「インターネットエクスプローラー9(IE9)」日本語版の製品版の提供を延期した。
 このほかにも、アップルが「iPad2」の販売を延期し、情報処理推進機構(IPA)は、平成23年度春期情報処理技術者試験の延期を決定した。
 情報サービス企業が受けた影響をみると、東京電力および東北電力管内で実施されている計画停電により、データセンター事業者ならびにデータセンターを持つSI会社が対応に追われている。
各社は、自家発電機からの給電によるサービス継続や、サービス停止にそなえてシステム停止手順の確認を促すなどの告知を行った。仮想化で需要を伸ばすVMウェアは、製品の停止、起動手順についてホームページで急遽公開した。
 業界団体は、省エネルギーに関する取組みを企業に促す経済産業省からの通達を受け、情報サービス産業協会(JISA)やコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)、電子情報技術産業協会(JEITA)など業界団体は、会員に向けて呼びかけを行った。
 国内情報サービス業における最大規模の団体であるJISAは、現在会員に対して被害調査を実施しており、それをもとに対応や支援を決めるとしているが、全社から回答が戻らずに完全には状況を把握しきれない状態にあるとしている。
 東北地方は、組込みソフト開発に注力する自治体が多いが、被害の大きい岩手や仙台を中心に多く会員を有する組込みシステム技術協会(JASA)によると、会員の企業は無事であることが確認できたとしている。
ITインフラに打撃を受けた被災地では、支援のための人員を増員したくても受け入れる余裕がないため、復旧作業にも限界があるようだ。

   NTTデータは、現在信用金庫や地方銀行の金融機関、自治体などのシステム復旧の対応に追われている。日本ユニシスは、社内の精鋭を集めて現地事業所に派遣して企業の支援を行っているほか、本社からも遠隔でサポートを行うなどの対応を行っている。