NII、日本ユニシスなどがCO2排出量取引に新手法
10 11/29
国立情報学研究所(NII)、凸版印刷、日本ユニシス、セブン&アイ・ホールディングスは、ICTを活用した新しいCO2排出量取引の実用化を目指す「サプライチェーン環境貢献技術検討協議会」を設立した。NIIと凸版印刷、日本ユニシスがICタグやバーコードを利用した貼り付け型の仕組みを開発、これにより個人レベルでのCO2排出量取引が可能になる。これを利用して、来年2月にポッカコーポレーションなど飲料メーカーの協力のもと、イトーヨーカドーの店舗において個人レベルの排出量取引に関する実証実験を行う予定だ。
温室効果の削減に貢献する事業や商品を購入することで自らのCO2排出分を相殺する「カーボンオフセット」において、現在排出権のやりとりは商品の製造者や販売者が代行している。
取引単位の大きさと煩雑な手続が必要なため、商品価格にCO2排出権取得費用が含まれていても、個人や中小企業の購入者は排出権を自らの意思で活用できない形になっている。
NII、凸版印刷、日本ユニシスは、総務省のICTグリーンイノベーション推進事業において、商品に排出権を記録したバーコードやICタグを貼り付けることで排出権付きの商品とし、バーコードやICタグをはがして返却することで、排出権の請求が可能になるという新しい排出権取引の仕組みを開発した。
この成果をもとに、サプライチェーン環境貢献技術検討協議会を設立し、同コンソーシアムを母体として、イトーヨーカドーにおいて個人向け排出量取引の実証実験を行う。個人向けの排出量取引システムの実験は、世界初の試みとなる。
実験では、凸版印刷が開発した紙製の飲料缶「カートカン」を使った飲料品に、排出権を表すバーコードを添付し、商品購入者に対して排出権口座を提供する。
購入後に、バーコードを店頭に返却すると、排出権が購入者の口座に移り、購入者は自分で排出権の使い方を選択できるようになる。はがしたバーコードを直接寄贈することも可能となっている。
個人の排出量情報は、携帯電話から確認できるようにする。排出権の提供先は、地域の学校などを検討しており、結果として製品購入が地域への環境貢献につながる仕組みとなる。
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