東大と国立天文台のスパコンが電力性能で世界一を達成
10 7/12
電力あたりのスパコン性能の世界ランキングであるGreen500プロジェクトにおいて、東京大学と国立天文台が共同開発しているスーパーコンピューター「GRAPE―DR」が1位に認定された。演算性能ランキングを算出する「TOP500リスト」が認定する現在世界最速のスパコンである米クレイ社の「XT6」と比べて、約3倍の性能を実現している。国産スパコンは、演算性能面では優位性をアピールできない状況が続いていたが、ここにきて東京工業大学などのグループも北海道の気候を活用したグリーン技術を研究するなど、環境技術で存在感を示しつつある。
GRAPE―DRシステムは、2004年に開発プロジェクトが開始され、現在国立天文台三鷹キャンパスに設置されているスパコンで、今回TOP500リストで使用されているベンチマークテストで1ワットあたり815MFLOPSの処理性能を記録し、2010年6月版の「リトル・グリーン・500リスト」で、世界1位にランキングされた。
要素技術として、東大と国立天文台は、チップ単体で50Wの消費電力で200GFLOPSの性能を引き出すことができる1チップ超並列プロセッサー「GRAPE―DRプロセッサーチップ」と、同プロセッサーを4チップ搭載し、ホストコンピューターと高速・低レイテンシーで通信できる「GRAPE―DRプロセッサーボード」を開発した。
同プロセッサーボードに加え、市販製品であるインテルの「コアi7―920CPU」、ASUSのマザーボード、18GBのDDR3メモリー、x4DDRインフィニバンドネットワークでシステムを使ってシステムを構成している。
スパコンの環境問題を研究している東京工業大学のスパコン「TSUBAME」の開発責任者である松岡聡教授によると、「スパコンの環境問題に対する研究は世界的に進んでいない」という状況で、今回のグリーン500でのトップ獲得で、日本は同分野での強さを示したことになる。
東大と国立天文台は、今年度中にさらにGRAPE―DRの50%程度の電力性能向上を実現し、今回よりも大規模構成のシステムで性能測定を実施する予定としている。