東工大、北大、NIIがスパコンのグリーン化技術で共同研究
10 6/22
東京工業大学と北海道大学、国立情報学研究所(NII)は、世界に先駆けてスーパーコンピューターのグリーン化技術の共同実証研究を開始する。運用の省エネ化と低コスト化を実現し、グリーンスパコン技術の分野で世界標準化を目指す。さらに研究成果に基づき、現在省電力スパコンの指標として使用されているが、指標として問題視されることが多い「Green500List」に代わる「新た指標を作る」(東工大学術国際情報センター松岡聡教授)など、スパコンの環境面での国際的な主導権獲得も視野に入れている
毎年6月と11月に発表される世界のスパコン性能ランキング「Top500List」において、現在の日本のマシンの最高位は富士通が開発した日本原子力研究開発機構のシステムが22位にとどまり、ランキング上では日本の存在感は薄い。
それでも、理化学研究所と富士通が中心となって開発を進めている理論最高性能10ペタFLOPS超の次世代スパコンが2012年に稼働を開始する予定で、東工大も今年11月に同学が運用するスパコン「TSUBAME(ツバメ)」の新版として、理論最高性能2・4ペタFLOPSと国内最高、世界でもトップクラスの性能を誇る「TSUBAME2・0」を導入する予定だ。
このようにペタ級のスペックを有するスパコンが増える一方で、比例して電力消費量やコストも肥大化していくという問題が発生する。そこで今回3機関が得意分野で協力し、省エネスパコンの技術開発を行う事業を共同で開始する。
研究の概要は、省エネ技術として大気冷却や地下水を利用した冷却技術などを開発し、冷却用電力の削減を図ることと、運用の分野で自動故障検知および修復技術を開発し、世界初となるスパコンのリモート自律運用を実現することで、消費電力およびメンテナンスコストの削減を図るというもの。
北大はリモート冷却技術、東工大はTSUBAMEで培った自律運用技術、NIIは、来年4月に稼働する学術研究用ネットワーク「SINET4」を利用したスパコンネットワーク運用技術を提供する。実証では、東工大で実証用のスパコンを開発して北大の近郊に設置し、SINETを介して制御できるようにするなどを予定している。
東工大は、共同研究の成果を「TSUBAME2・0」の次期版に採用するとしている。
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