富士通研究所がスマートシティ向けのピーク電力削減技術を開発

11 12/19

 富士通研究所は、スマートシティに適用できるピーク電力削減技術を開発した。オフィスや住宅街などの使用電力や、分散配置された蓄電池の残量、使い方などの情報をクラウドで収集し、クラウドから蓄電池を統合制御することでコミュニティ内に分散配置された蓄電池を効率よく利用し、ユーザーの利便性を損ねずにピーク電力を削減することができる。同社のオフィスで、ノートパソコンの充電・放電制御に適用して実験したところ、オフィスのピーク電力を約10%削減させることに成功した。今後は、スマートシティへの展開を目指すとしている。

 スマートシティにおいては、従来ビルや家庭に配置された蓄電池を電力使用量のピーク時に放電し、そのほかの時間帯でユーザーごとに充電させることでピーク電力削減に対応してきたが、その際に蓄電池に充電する時間帯が偏ってしまい、ピーク電力が増加してしまう危険性があった。
 そこで今回富士通研は、コミュニティの特性を考慮して電力需要を複数予測し、ユーザーの利便性を損ねることなくピーク電力を削減する新しい蓄電池の充放電制御技術を開発した。
 コミュニティ全体の過去の電力需要変動をいくつかのパターンに分類し、それから予測時点までの電力需要の変動から、起こる可能性の高い電力需要パターンを絞り込み、補正をかけて予測を行う。
 さらにクラウド環境で収集したユーザーごとの使い方や各蓄電池の残量などの情報に基づいて、ピーク電力の削減と、各蓄電池の充放電による残量の変動も考慮した充放電のスケジュールを計画する。これによってピーク電力を削減しつつ、放電で電池の残量がなくなることや、蓄電池の寿命を縮めることがないようにできる。
 富士通研は、自社のオフィスをスマートシティのコミュニティと仮定し、40台ノートPCの内蔵バッテリーをコミュニティ内に分散配置された蓄電池に見立てて、オフィス全体のピーク電力を削減する実験を行い、効果を実証した。
 まず、クラウドで収集したデータを元にオフィス内の需要予測を行い、PCの充放電スケジュールを決定した。その際に、出張が多いユーザーのノートPCは放電時間を少なく、バッテリー容量を多めにして出先でのバッテリー切れを防いだほか、放電させるバッテリーが偏ってノートPCの電池が劣化しないようにクラウドから制御した。

 今後は、社内外での実証実験を通じて、ピーク電力削減技術の検証を進めていく。

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