情報処理学会が情報処理技術遺産の博物館制度を創設
09 3/9情報処理学会は、現存する貴重な情報処理技術遺産の保存を目的とした「情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定制度」を開始し、情報処理技術遺産23件、分散コンピュータ博物館2件を認定した。今回の認定制度は、将来に「コンピュータ博物館」が設立される可能性をにらんだもので、老朽化が進み保存が困難になっている、歴史的なコンピューター関連機器を認定し、所有者の努力に感謝することで保存を促していく。今回の情報処理技術遺産の認定はハード機器のみとなったが、将来はソフトも認定対象としていくことを明言している。
情報処理学会の佐々木元会長(NEC会長)は「学会では、以前から海外に伍する博物館を国内に設立するよう多くの企業、機関に呼びかけてきたが、折からの金融不況の影響もあり、今のところ実現の見通しが立っていない」としている。
同学会としては、今後も博物館設立の呼びかけを続けていく方針で、今後例え博物館ができたとしても、コンピューター関連の歴史的機器は老朽化が進んでおり、それまでに貴重な遺産が失われることはあってはならないとの考えから認定制度を開始することにした。
情報処理技術遺産に認定されたのは23件で、日本初の機械式卓上計算機「自働算盤」や国勢調査の集計のために開発された「川口式電気集計機」といった明治、大正期の機器や、現富士フィルムの「FUJIC」や現富士通の「FACOM128B」といった現存する黎(れい)明期のコンピューターが認定された。
その他、日立製作所のHITACやNECのNEAC、現東芝のTOSBACなどのメインフレームや、記憶に新しいところでは、東芝の初の日本語ワードプロセッサー「JW―10」や、NECのパソコン「PC―9801」も認定されている。
一方、小規模ながら貴重な史料を保存している施設や機関を認定する分散コンピュータ博物館には、京都コンピュータ学院KCG資料館と東京農工大学情報工学科西村コンピュータコレクションの2件が認定された。情報処理技術遺産について、歴史特別委員会の発田弘委員長は「ソフトについても選定対象とすることは決定しており、今後選定方法などについて具体的な検討に入る予定」としている。
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