シマンテックがベリサインの事業を買収
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米シマンテック社は、米ベリサイン社のSSL証明サービス、PKI(公開鍵基盤)サービスなどの個人認証および電子証明事業を12億8千ドル(1152億円)で買収する。ベリサイン社の認知度の高い認証を統合し、クラウドやモバイル時代に対応するとともに、ブランド力の強化を図る。また、今回の買収で米ベリサイン社が所有する日本ベリサインの株式すべてがシマンテック社に売却され、親会社がシマンテックに移動する。日本ベリサインの社名やサービスの変更、トップの交代などは今のところ行われない模様だ。
シマンテック社は、PCセキュリティの分野でトップベンダーの地位を築いているが、今後のクラウドコンピューティングやソーシャルネットワーク、モバイルコンピューティングといった新しいコンピューティング環境に向けたセキュリティサービスの拡充と企業の成長戦略を、買収という形で進めている。
そういった意味で、オンライン認証型セキュリティのトップベンダーであるベリサイン社の買収は、サービスとブランドの両面で意味を持つ。このほかにも、シマンテック社は、4月に電子メールとデータの暗号化ソリューションを提供する米PGP社と米ガーディアンエッジ社の買収を発表しており、着実にセキュリティサービスの領域拡大を図っている。
ベリサイン社は、Webサイトの安全性を証明するSSL証明書サービスを提供し、現在世界で1日20億以上の証明書認証を行っている。SSL証明書機能は、シマンテック社の「クリティカル・システム・プロテクション」「プロテクション・スイート・フォー・サーバー」と組合せて提供することになる。
このほか、クラウドで提供するベリサインのアイデンティティ・プロテクション(VIP)認証サービスにより、組織のユーザーID認証を支援する。また、ユーザー電子証明書サービスをノートンブランドのコンシューマー製品に組込み、オンラインビジネスをする際の安全な個人認証サービスを実現するなど、ユーザーの新しいコンピューティング環境の利用を支援する。
日本ベリサインは、今回の事業売却によってシマンテックの子会社となる。同社は、国内ではSSLサーバー証明書サービスで約6割、クライアント認証で約3分の1程度の市場を持っている。買収完了後、国内での新しいビジネス展開を検討していく見通しだ。
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