NTTが新しい分散処理構想を発表
14 2/3号
NTTは、スマートフォンなどの端末の近くに位置するサーバーに処理を分散させる新技術「エッジコンピューティング構想」を発表した。従来のクラウドコンピューティング環境と比較して、通信の遅延を最大100分の1に短縮できるほか、今後普及・増加が予測されるM2Mデバイスなどのトラフィックを軽減可能で、リアルタイム性が要求されるサービスや、サーバーとの通信頻度や量が多いビッグデータ処理などに応用できる。同構想の第一弾として、スマートフォンやPCなどで実行するアプリケーションのレスポンス速度を高速化するクラウド技術「分散型Web実行プラットフォーム」を開発した。
既存のクラウドコンピューティングは、世界規模で配置された、決められた場所に存在するサーバー群で処理を行っている。その際に、利用者の端末とクラウドとの物理的距離が離れるほど、光の伝搬速度に伴う通信遅延が発生する。
これに対しエッジコンピューティングは、ユーザーと物理的に近い場所に小規模なエッジサーバーを設置し、ユーザーが所有する端末の近くで分散処理を行わせることで、通信の遅延を少なくし、効率的かつ高速に処理を行える仕組みとなっている。
クラウドコンピューティングとエッジコンピューティングを融合させることで、従来のクラウド技術では実現が難しかったリアルタイム性が要求されるITSやAR、ヘルスケア、防犯、災害監視、ゲームなどのサービスが実現できるとしている。
今回開発した分散型Web実行プラットフォームは、エッジコンピューティング構想の一部で、通常は端末で実行しているWebアプリケーションをユーザーの近くのエッジサーバーで分散処理することにより、エッジコンピューティングのアプリケーションをHTML標準で開発・提供することを可能にするというものとなる。
既存のWebアプリケーションをそのまま利用可能で、端末における負荷の高い処理をエッジサーバーで分散処理することで、端末の性能によらない、高速なアプリケーション処理が行える。