沖電気が超高感度人感センサーを開発

12 10/15

 沖電気工業(OKI)は、微細な動きを検知できる超高感度人感センサー技術を開発した。歩行などの大きな動きから、呼吸などの小さな動きを区別して感知できる。安静中の人のわずかな動きを感知・判別できるため、健康面での以上の予兆把握や、高齢者および要介護者の見守り、セキュリティ対策などに適用できる。今後はクラウドに情報を集約して分析し、転倒など、体の異常の前兆の予測なども行う。同社は、同様なスマートセンシング技術をもとに、スマート社会実現のためのシステムやソリューションを提供していくとしている。

 

 現在、セキュリティや見守り、省エネなどの分野では、人の存在を検知する「焦電型赤外人感センサー」が使われているが、同技術は動いている人間の動きをとらえるのには適しているものの、安静中の人の検知には適していない。
 そこで今回OKIは、障害物を透過して回り込む性質を持ち、呼吸や心拍といった人の微細な動きにも反応できるドップラー効果を利用した「マイクロ派電波センサー」をベースに、新しいセンサー技術を開発した。
 マイクロ派電波センサーは、これまでも一部の人感センサーに使われているが、広いエリアをカバーしようとすると、本来取得したい人の動き以外にも、室内の空調機や外部の自動車の動きなどに反応してしまうという問題があった。
 そのため、OKIは物体の動きによる揺らぎの違いに着目し、電波センサーの出力から周囲の動く物体の影響を排除しつつ人体の動きを高精度に抽出する統計的モデルの研究開発を行い、中央大学統計データ解析研究室と共同でモデルの改善を行い、呼吸レベルでの検知を可能とする技術を確立した。
 電波センサーは、センサー部分を露出させる必要がなく、プライバシー空間で利用する際の抵抗感を軽減できる。センサーは家具やふとんも通過しやすく、暖房機器の熱源や環境温度変化にも強いため、浴室での利用も可能となっている。

 

 これにより、家庭内で安静状態と活動状態をリアルタイムに区別して検知することができる。検知した情報を集めて、生活行動における小さな変化を可視化でき、病気の予兆や1人暮らしをする老人の見守りなどが可能になる。さらに、データをクラウドに集約して分析し、健康異常の予兆把握と早急な対処を支援する技術にも発展させる。

沖電気工業(OKI)