スパコンの世界ランキングでクレイがトップに
09 11/23
世界のスーパーコンピューターの性能ランキングを発表している「TOP500プロジェクト」は、2009年11月度の最新ランキングを発表した。これまで1位の座に君臨してきた米IBM社の「ロードランナー」を抜いて、今回は米クレイ社の「ジャガー」がトップを獲得した。日本勢では、31位が最高位と低迷するなか政府の行政刷新会議による「事業仕分け」により、文部科学省が実施している「次世代スーパーコンピューター開発事業」の予算も事実上凍結される見込みで、京速(10ペタFLOPS)を誇る世界一のスパコンを開発するという構想に赤信号がともっている。
「TOP500」は、ドイツのマンハイム大学、米エネルギー省ローレンスバークレイ国立研究所、テネシー大学の研究者が中心となり、6月と11月の年2回公開しているスパコン演算速度の世界ランキングとなる。
2004年11月に、NECの地球シミュレータから首位の座を奪って以来、今年6月までは、米エネルギー省ローレンス・リバモア国立研究所で稼働する「ブルージーンL」、同ロスアラモス国立研究所で稼働する「ロードランナー」と、IBM製システムがトップを維持してきたが、今回ついに米オークリッジ国立研究所で稼働している、クレイ社製の「ジャガー」が一気にトップに躍り出た。
ジャガーは6コアのAMDのオプテロンを搭載しており、演算性能1・75ペタFLOPSを誇る。今回はこのほかにもランキングに変動があり、アジア勢から5位に中国・天津の国立スーパーコンピューターセンターのシステムがランク入りした。
これに対し国内勢は、海洋開発研究機構で稼働しているNEC製の地球シミュレータの31位が最高位という状況で、かつて同マシンがトップを独走していた頃とは勢力図が大きく変わっている。
さらに、技術大国の威信をかけて理化学研究所を中心に、国内メーカーが参加して進めてきた世界最高速の次世代スパコンの研究開発も、折からの不況で富士通以外のメーカーが撤退し、追い討ちをかける形で新政権による概算要求の見直し作業で「無駄」と判断され、世界のスパコン開発競争からさらに大きく後退することになりそうだ。
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