富士通研究所が映像の原本性を保証する技術を開発
08 7/14
富士通研究所は、長時間撮影したデジタル映像を分割して保存したり、映像の一部を切り出してもその映像がもとの映像の一部で、改ざんがされていない原本性を保証する技術を開発した。改ざんがないことの保証に加え、誰がどの部分を切り出したか、その切出し映像の撮影時間は何時何分かなども確認できる。例えば監視カメラは24時間の常時撮影が必須で、数時間分のデータを分散して管理することになる。その際に映像データが改ざんされていないことを保証できることが求められており、これに対応した。同研究所では「世界で初めて成功した技術」としている。
近年は店舗や工場、道路などに設置した監視カメラで撮影したデジタル映像データを、事件や事故などが発生した時に証跡情報として公開することが多くなっている。
監視時間は24時間の長時間録画が当り前で、映像データは撮影時刻を含めたデジタル証拠性を保ったまま数時間ごとに分割して複数保管することが求められている。また、撮影されたデータは容易に改ざんできることから改ざんされていないことを保証する技術が必要になる。
そこで同研究所は撮影された原本映像に対して、時刻配信機関などから正しい時刻を保証する時刻情報と撮影者の電子署名を付加し、デジタル映像データを安全に分割・保存・管理できる技術を開発した。
保管された映像データから一部を切り出して検証データを生成する場合でも、誰がいつどの部分を切り出したかを確認できるようにすると同時に、切出し作業者が電子署名する。
切り出した検証映像を公開する時は、撮影者と切出し作業者の電子署名がないと公開できず、切出し映像からでも撮影日時の確認も取れるようになっている。
これにより、撮影した映像の一部を切り出して公開する際にその映像が改ざんされていないことを保証すると同時に、プライバシーの保護から一部の映像を削除した場合でも撮影時刻の確認が可能で、デジタル証拠として原本性を確実なものにできる。
同研究所では「分割映像の原本性を保証する技術を開発したのは世界で初めてとなる」としており、今後は、セキュリティ対策で拡大が予想される映像証跡ビジネスなどへの適用を目指し、実用化に向けた機能のブラッシュアップを図ることにしている。
富士通研究所 http://jp.fujitsu.com/group/labs/