日本主導のWi-SUN無線規格普及へ

13 10/14

 日本の情報通信研究機構(NICT)が主導して仕様を決めたスマートハウスの無線通信規格「Wi―SUN(ワイヤレス・スマートユーティリティ・ネットワーク)」が、世界的に広がりつつある。このたび、東京電力が次世代スマートメーター用の無線方式として採用したほか、「米国のスマートメーターの3分の1に採用されている」(NICT坂内正夫理事長)という。NICTでは、Wi―SUN規格を搭載したスマートメーター用の小型の無線機も開発しており、そのほかにも10社以上のチップベンダーがチップ開発に着手しているとう状況だ。

 Wi―SUNは、米国電気電子学会(IEEE)で標準化したスマートユーティリティーネットワーク規格の「IEEE802.15.4g/e」をベースに、国際的な規格認証団体であるWi―SUNアライアンスにおいて、メーカー間の相互接続を可能とするための規格として策定されたもの。
 Wi―SUNアライアンスは、グローバルで35社が参加し、NICTのスマートワイヤレス推進室原田博司室長が議長を務めている。IEEEでの標準化の過程でも原田室長はボードの副議長を務めており、NICTはこれまでスマートハウスの無線標準規格ならびにWi―SUNの構築に大きく寄与した実績を持つ。
 スマートハウスにおける上位層(アプリケーション層)は、「ECHONET(エコーネット)Light」で標準化されつつある。エコーネットは、宅内のエネルギー管理システム(HEMS)アプリケーションの規格で、Wi―SUNはその“下回り”となる下位層(物理層、Mac層、ネットワーク層、トランスポート層)を規定したものとなる。
 今回東電は、次世代の電力量計として今後整備していくスマートメーターと、HEMSのホームゲートウェイ間を結ぶ無線規格として、Wi―SUNを採用した。

    NICTでは今後、Wi―SUNを「実際に使われる世界標準仕様として推進していく」(坂内理事長)ほか、スマートメーターに加えて、防災や農業、交通、住宅などのサービスへの適用を検討している。  

情報通信研究機構(NICT)