NTT東など官民研究グループ、クラウド+IoT技術検証
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国立情報学研究所(NII)と三井住友アセットマネジメント(SMAM)は、ビッグデータを生かした金融資産管理(アセットマネジメント)分野の取組みなどを研究する専門組織として「金融スマートデータ研究センター」を2月1日に設立した。センターはNII内に設置し、NIIの喜連川優所長がセンター長に就任、研究リソースをNIIが提供し、SMAMが資金を提供する形となる。これにより、「ビッグデータによる経済社会現象の高精度な分析技術開発、未来予測などを行う」(喜連川所長)としている。
東日本電信電話(NTT東日本)など民間企業と大学・研究機関など官民5法人と2都市で構成するスマートシティ実現を図る研究プロジェクトグループは、欧州委員会(EC)と連携して進めてきたこれまでの活動の成果を踏まえ、日欧4都市のシステムを相互に接続し、クラウドとIoTの技術要素を融合するClouTアーキテクチャーの技術検証を行う実証実験を2月15日から3月末まで実施する。
グループの活動は、ECの研究・開発に対する助成政策(FR7)と連携して情報通信研究機構(NICT)が委託した「新世代ネットワークの実現に向けた欧州との連携による共同研究開発」プロジェクト(ClouTプロジェクト)。クラウドと融合したIoTアプリケーションの共通基盤を実現させるIoTアーキテクチャーの策定と、このアーキテクチャーに基づくスマートシティ実現のためのアプリケーションを開発する。グループは2013年に3カ年のプロジェクトとして受託し、これまで、日欧4都市の実証実験を通じてアーキテクチャーの技術的検証やIoTアプリの都市における課題解決貢献度の評価などを行ってきた。
最終年度となる今年は、日欧それぞれの研究グループが開発・実証してきたシステムをClouTアーキテクチャーが定めるAPIにより接続し、都市データを一元収集、管理、加工、可視化する日欧連携による共同実験を実施する。
東京都三鷹市、神奈川県藤沢市とスペインのサンタンデ―ル、イタリアのジェノバの日欧4都市の大気・気象情報などのデータを各都市のシステムからクラウド環境上に集約し、日本の研究グループが開発したアプリケーションのデータ処理結果を4都市のパブリックサイネージ(電光掲示板)などに配信する。
グループのメンバーはNTT東日本のほか、慶應義塾大学SFC研究所、情報・システム研究機構の国立情報学研究所、日本電信電話(NTT)、パナソニックシステムネットワークスと三鷹市および藤沢市。
実証では、技術検証に加えて、サイネージで情報を閲覧した市民の都市の環境に関する理解の深化、都市の環境改善に結びつく行動意欲の高まりなどの効果も検証する。
今後は、共同研究・実証実験の結果から、ClouTアーキテクチャーの有用性、都市の課題解決に対する貢献度などを評価し、最終報告として委託元のNICTから公表する。 また、このプロジェクトの研究グループはビジネス展開についても引続き議論を進める、としている。