政府、2015年版ものづくり白書を策定
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政府は、わが国製造業の現状と課題・展望についてまとめた「2015年版ものづくり白書」(平成26年度ものづくり基盤技術の振興施策)を9日閣議決定した。その中で、IoT(モノのインターネット)社会における製造業の方向性として、新たなビジネスモデルへの対応が重要課題とし、「インダストリー4.0など各国の動きも見据え、今後の方向性を検討することが必要」と指摘。個別最適を超えた企業間の最適化を図る「つながるメリットの実現」や「データ活用による付加価値の創出」を追求すべきとしている。
白書では、わが国経済・製造業の現状について、アベノミクス効果が表れる中で着実に上向き、ものづくり産業を中心に企業収益の改善がみられ、経済の好循環が続く一方で、ものづくり産業の稼ぎ方は、輸出で稼ぐ構造から海外で稼ぐ構造へと着実に変化している、としている。
また、製造業が直面する課題と展望について、企業業績改善が進み、国内設備投資も増加しつつあるものの更なる投資の活発化が重要としたうえで、国内拠点の役割を見極め、国内・海外でそれぞれ稼ぐ分野を明確にしつつ、その担い手の育成及び海外収益の国内への利益還元も課題として指摘した。
さらに、すべてのモノをデータ化しインターネットにつなぐIoTの進展により、ものづくり産業も大きな変革を遂げている。その中で、製造業の新たなビジネスモデルへの対応は重要な課題とし、ドイツのインダストリー4・0や米国のインダストリー・インターネットといった「製造業の全体最適を図ろうとする」各国の動きに対応し、今後の方向性を検討すること必要とした。
こうした認識を受けて、製造業の新たな展開と将来像、IoT社会における一つの方向性として、世界1のロボット大国であるわが国が、産学官の協力によりロボットの自律化など“ロボット革命”を実現していくことを打ち出している。そして、ITやIoTのメリットを理解し産学官一体となって思い切った方向転換を行っていくことが最も重要としている。
白書は、ものづくりの基盤技術のほか、ものづくりを支える人材確保や教育・研究開発についても現状・課題・施策をあげ、それぞれ経済産業省、厚生労働省、文部科学省が担当する。今回白書ではA4判320頁のうち3分に2を経産省が担当。うち、ほぼ半分をIT関係の課題と施策に使った。