政府、個人情報保護法改正へ素案
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政府IT総合戦略本部は、「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」を発表し、個人情報保護法の改正に関する素案を公表した。今後ビッグデータの普及が見込まれるなか、特に有効とされるパーソナルデータ(個人情報)の利活用に際して、利活用の促進とプライバシー保護を両立できるように、現状発生している個人情報の取扱いに関するグレーゾーンの撤廃を図った。ただし保護対象となるデータの策定は、大枠のほかは民間と第三者機関に委ねるとし、今後の議論の余地も残っている。改正法の施行にあたっては、2015年1月以降、法案が国会に提出される。
個人情報保護法は、2003年に施行されてからすでに10年以上過ぎている。もともと、制度の内容が厳しいという意見が多かったうえ、技術的進化への対応もあり、これまでも内容の見直しが求められてきたが、昨年発表された政府のIT成長戦略において、ビッグデータ・オープンデータの活用が推進されたことで、今回個人データの活用を視野に、内容の見直しが行われた。
現行の個人情報保護法では、パーソナルデータの扱いに関して、解釈次第でどちらにも転んでしまうというあいまいな状況にある。これは正規の事業者にとって単なる抜け道という訳でなく、ビッグデータ関連のビジネスやイノベーションを推進していくにあたり、プライバシーに係る社会的な批判を受けるリスクが生じ、現行法のもとでは、パーソナルデータの利活用をためらってしまうという「利活用の壁」が立ちはだかっている。
改正案では、本人の同意がなくてもデータの利活用を可能とする枠組みを導入する。「個人の特定性を低減したデータへの加工」と、「本人の同意の代わりの取扱い規律」「個人情報の範囲の明確化」を整備することにより、個人の権利利益の侵害に結び付くような事業者の行為を未然に防止しつつ、事業者にとっても円滑な利活用を可能とする。
グレーゾーンは、ICTの進展や時代の背景によって変わるため、柔軟に対応できるようにするために法律で大枠を定め、具体的な内容は政省令、規則、ガイドラインならびに民間の自主規制ルールにより対応する。
民間団体が業界の特性に応じた具体的な運用ルールを策定し、そのうえで実効性の確保ならびに本人が意図しないデータ利用防止のため、第三者機関が認定を行うという枠組みとなる。個人情報保護法改正の後、早期に第三者機関を設置する予定となっている。
社会的差別の原因となる恐れがある人種、信条、社会的身分及び前科・前歴などに関する情報を「機微情報」とし、個人情報にこれらの情報が含まれる場合は、原則取扱いを禁止する。