KDDIがau携帯に.NETアプリを構築可能に

09 12/21

 KDDIは、携帯電話向けアプリケーションプラットフォーム「.net by au(ドットネット・バイ・エーユー)」の本格展開を開始した。開発環境を来年3月末まで無償提供し、開発者の取り込みを図る。「BREW」プラットフォームに仮想マシン(VM)を搭載し、ドットネットベースのアプリケーションを稼働させる仕組みで、ウインドウズPCと同等な環境でアプリケーションを開発でき、既存資産も利用できるという利点がある。今後、法人向けスマートフォン市場の拡大に対応しつつ、既存携帯電話向けのソリューションとして中小企業や業務特化型ユーザーへの普及を図る。


  現在携帯電話の世界では、OSを搭載した高機能携帯電話が普及するとともに、オープン化という流れが起こっている。グーグルのアンドロイドをはじめ、シンビアンOSもオープン化され、有料ながらウインドウズモバイルも汎用基盤製品だ。
  これに対し、KDDIが注力してきた米クアルコム社の携帯電話用アプリ開発環境の「BREW」は非オープン環境であり、この流れをふまえて新たにスマートフォン販売を開始するとともに、ドットネット・バイ・エーユーで、企業内システムとの親和性の高いウインドウズモバイルと同様の携帯電話向けアプリケーションを提供できるようにした。
  ドットネット・バイ・エーユーは、マイクロソフトの開発ツール「ビジュアルスタジオ」でC#言語を利用して開発できる。開発したアプリは、パソコンから独自の暗号化技術によってプロテクトされたブルートゥースによる無線通信で携帯電話に配布し、インストールやバージョンアップができる。
  BREWの場合、アプリの開発後にKDDIの検証が必要だが、同フレームワークではその必要がなくなる。さらに、すでにドットネット・バイ・エーユーで実案件の開発を進めている組込みソフトベンダーのセックによると、開発で40%、テストで50%コストを削減できると試算している。
  KDDIは、同プラットフォーム普及のため、開発環境や実行環境に加え、無償のアプリやソースコードも提供していく。来年度は、定期的にセミナーを開催するほか、機能を拡張した「バージョン2・0」の発表、コミュニティサイトの構築を予定している。
  現在の対応機種はauの法人向け携帯電話「E05SH」と「E06SH」のみだが、今後他の機種やプラットフォームへの移植も予定している。

KDDI .net by auサイト

セック