富士通が3カ年の中期経営方針を発表
07 6/18 富士通の黒川博昭社長は、今年度から開始する3カ年の中期経営方針を明らかにした。それによると「サービスなどの強い分野はより強く、LSIなど弱い部分は補強・改善する」ことと、顧客の視点で行動する「フィールド・イノベーション(現場改革)」の推進に焦点を当てている。グループ全体の重点施策として3項目を掲げて推進する。また、すべての分野でグローバル戦略を展開することで収益を上げ、「今年度の営業利益を1900億円に、2009年には連結営業利益率を5%超にする」と強気の経営方針を示した。
これまでの経営戦略で企業体質の改善が進み、グローバルでの成長力が見えてきたことから、今年度から始まる3カ年経営方針では「成長とリターンを拡大する戦略」を展開することにした。
具体的には、ソフト/サービスなど「強いところをさらに強く」し、弱い分野を補完するような全社的な構造改革に着手することになる。
具体的に見ると、テクノロジーソリューション事業ではサービスビジネスの強化拡大策として、従来のようなITソリューションの提案から脱却し、「顧客寄りのビジネスソリューションを提案できる体制にしてフィールド・イノベーション企業を目指す」ことを明言した。
このフィールド・イノベーションは今後のサービス事業の基盤コンセプトとなるもので、人とプロセスを改善し続けて最新技術をサービスとして提供する。その第一弾として、総務や経理、営業の業務経験者がコンサルティングなど上流から顧客とコンタクトするなど、現場での経験をもとにユーザーに様々なソリューションを提案できる体制を整える考えだ。
一方で、グローバルでの事業拡大に大きな期待を見せている。SAP社やマイクロソフト社とのアライアンス拡大、サービスセンターおよび研究開発拠点のグローバル展開を実施する。「世界を地域別に見ると日本の成長率は低い」ことから、グローバル展開による利益確保をねらう。
コンピューター・メーカーのハード部門は、低価格化と競争激化で不振に喘いでいる。しかし黒川社長は「人が企業の礎」との考えから現在の事業体制を崩さずに発展を模索しており、これが今回の中期経営方針にも現れた形だ。