IT関連メーカーの2008年度決算は減収減益に

09 5/18

 富士通、日立製作所、NEC、東芝のIT系大手メーカー4社の2008年度決算が出そろった。世界的な経済不況を受けて、各社とも減収減益で未曾有の赤字決算となったが、特に日立は前回予想の8千億円は逃れたものの、製造業として史上最悪となる7873億円の赤字を記録した。全体的に円高による為替差益による赤字幅の拡大が大きかったことに加え、部門別には半導体や液晶ディスプレーの落ち込みが大きく、不採算部門の整理として子会社同士の合併や、部門売却などすでに大きな動きが始まっている。それでも今年度も各社とも厳しい見通しを立てている。

 日立製作所の2008年度決算は、売上高が前期比11%減の10兆3億円、営業利益が63%減の1271億円となり、最終損益は7873億円の赤字を記録した。
  すべての部門が売上を落としたなかで情報通信システムは前年比6%減の2兆5944億円と減収となったが、営業利益はプロジェクトマネージメントの強化などの要因によって52%増の1766億円となった。
  今年度の業績見通しは、売上高が前期比11%減の8千900億円、最終損益は2700億円の赤字を見込んでいる。
  NECは、売上高が前期比9%減の4兆2156億円、営業利益が1630億円減となる62億円の赤字、最終損益は2966億円の赤字だった。
  全部門の売上が前期を割るなか、特に赤字幅の大きかった半導体部門でNECエレクトロニクスと日立傘下のルネサステクノロジーとの合併に向けた協議を開始するなど赤字部門の整理を急ぐ。新たにクラウドサービス事業に注力するなどの施策により、今年度の業績見通しは、売上高が前期比12%減の3兆7300億円、当期利益100億円を見込む。
  東芝は、売上高が前期比13%減の6兆6545億円、営業利益が前期比4966億円減となる2502億円の赤字、最終損益は3436億円の赤字となった。
  全セグメントで減収減益となり、特に東北に工場を建設し、富士通の不採算部門を受け入れるなど肝いりの 半導体事業の赤字が響いた。今年度の業績見通しは、売上高6兆8千億円、500億円の赤字を見込む。
  富士通は、売上高が前期比12%減の4兆6230億円、営業利益が67%減の688億円、最終損益は1124億円の赤字と4月中に決算を発表している。
  減収減益ながら、ソフトサービス・テクノロジーソリューション事業の営業利益は85億円増加した。今期は、売上高が前期比2%増の4兆8千億円、当期利益200億円を見込んでいる。

 

関連サイト

富士通(2008年度決算概要)

日立製作所(2009年3月期決算概要)

NEC(平成20年度(第171期)決算概要 )

東 芝(2008年度 決算(連結・単独))