メーカー3社が2007年度決算を発表

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 NEC、日立製作所、富士通と国産メーカー3社の2007年度決算が相次いで発表された。ユーザーのIT投資が活発だったことと、各社が取り組んできた事業の“選択と集中”が功を奏し、一時の落ち込みから脱却してきたことが伺える内容だった。日立はデジタルメディア・民生機器事業の回復が思わしくなく2007年度は赤字決算となったが、今期は黒字脱却を宣言している。一方、NECはNGN関連事業を、富士通はITサービス分野の強化をそれぞれ深掘りしていくことになる。今年度はグローバルでの競争力に不安は残るが、堅調な成長を予測している。

 日 立 

 2008年3月期の連結売上高は、前年度期比9.6%増の11兆2267億円、営業利益は2倍近い3455億円と増収となったが、当期純損益は前期を上回る582億円の赤字となった。赤字の要因は、薄型テレビ事業やプラズマパネルなどで約1千億円の損失を計上したことが響いた。
  分野別で見ると、情報通信システムは、11.7%増の2兆7611億円となっている。うちソフトウェアはミドルウェアを中心に好調に推移して12.6%増の1734億円、ITサービスはSIやアウトソーシングの拡大で14.5%増の1兆1352億円となっている。
  今年度の予測は売上高が1.1%減の11兆1千億円、当期利益が400億円の黒字を見込む。

 富士通 

 富士通の2008年3月期決算の連結売上高は、4.5%増の5兆3309億円、営業利利益は12.6%増の2050億円、当期利益は53.0%減の481億円と増収減益だった。6月に相談役に退く黒川博昭社長が「現場力の強化」を推進してきた。これが奏功しITサービス事業の拡大につながった。
  中核となる「テクノロジーソリューション」事業は、売上高が3.6%増の3兆2722億円で、うち「サービス」事業はSIビジネスの拡大、アウトソーシングサービスの堅調な推移から4.3%増の2兆5593億円となっている。海外での伸びも7.5%増の9336億円となった。
  今年度予想は、売上高が微増の5兆3500億円、当期純利益が2倍の1千億円を見込む。

 NEC 

 NECの連結売上高は、0.8%減の4兆6172億円で、営業利益は124.0%増の1568億円、当期得利益は148.5%増の227億円で減収増益となった。減収は、ヨーロッパでのパソコン事業撤退やデバイス事業の売上減が響いたもの。
  セグメント別では、「IT/ネットワーク(NW)ソリューション事業」が3.9%増の2兆8662億円だった。うち「ITサービス/SI」分野は、すべての業種向けで好調さを保ち7.3%増の8325億円となっている。「ネットワークシステム」はNGNへの取組みを強化したことで5.8%増の1兆860億円となった。
  今期予想は売上高が4.0%増の4兆8千億円、当期利益は350億円の黒字を見込んでいる。

 

富士通(決算短信サイト) 

日 立 2008年3月期 決算の概要

NEC 平成19年度(第170期)決算概要