経産省/東証、攻めのIT経営にIRガイド
15 12/21
経済産業省は、2016年度も東京証券取引所と共同で「攻めのIT経営銘柄」を選定する。併せて、企業価値向上に向けたコーポレート・コミュニケーションを企業に奨める趣旨から「攻めのIT―IRガイドライン」を設定。いずれも16日発表した。ガイドラインは、ITの戦略的活用に関する情報提供などを推奨する内容で、攻めのIT経営銘柄選定に反映させる。16年の銘柄選定は、対象となる上場企業のアンケート調査を経て5月下旬に発表される。
攻めのIT経営銘柄は、上場企業を対象に、中長期的な企業価値向上や競争力強化といった視点から経営革新をもたらす積極的なIT活用に取組む企業を選定する。投資家へのアピールとともに、企業経営者に戦略的ツールとしてのIT活用を促す狙いで実施。第1回の15年度は、18業種から各1社が選ばれた。
経産省と東証は、16年度について協議、改定版日本再興戦略にも今後のIT活用の取組み推進が盛込まれるなどを受け、企業における攻めのIT経営を更に促進する狙いから実施を決めた。
「攻めのIT経営銘柄2016」は、東証上場約3500銘柄にアンケート調査を行い、スコアリング評価や財務指標によるスクリーニング、選考委員会の最終選考により選ぶが、今回の選考枠は「33業種から各1、2社程度」としており第1回に比べ枠が広がる。
選定にあたって客観性を高めるため、回答内容のエビデンス情報について記述欄を設け評価対象とする。また、IT―IRガイドラインとの連動も新たな要素。ガイドラインが示すIR情報として公表が期待される項目を公開しているかも評価の対象とする。
また、前回「ROE(株主資本利益率)の3年間平均が業界平均以上」となっていた財務スクリーニング基準に対し、新たに「3年間平均のROEが8%以上」という並列基準を設け、実質的に条件を緩和した。
一方、IT―IRガイドラインは、企業が投資家に向けてIT活用に関する情報発信をする際の参考にすることを目指したもの。経営方針・経営計画における企業価値向上のためのIT活用や戦略的IT活用、推進体制と人材、さらに攻めのIT経営を支える基盤的取組みなどを開示すべき項目として掲げ、その開示方法についても示している。