経産省、情報セキュリティ技術者に登録・更新制度
15 11/2
経済産業省は、情報セキュリティ強化への社会的ニーズの高まりに対応して、高度の知識・スキルを持つ情報セキュリティ技術者の登録・更新制の導入に乗り出す。こうした人材の能力をより効果的に活用するとともに、技術などの経年陳腐化を防ぎ本人が最新の技術を習得する取組みを促すためで、当面、情報処理技術者試験の情報セキュリティスペシャリスト試験の合格者を中心に創設する。年内に開く産業構造審議会の研究会で具体的な検討作業を始め、早ければ2017年度にも実施に移す。(7面に関連記事)
経済産業省が検討作業を進めてきたのは、産構審情報経済小委員会IT人材WGの「情報セキュリティ人材の確保に関する研究会」。
クラウドコンピューティングの普及やIoT社会の到来を受け、ネットワークにつながる多くの企業や組織の中で、情報セキュリティ強化の意識が急速に高まっているが、実施には専門的な知識やスキルを持つ人材が少なく適確な調達や検証ができない。
経産省は、こうした状況に対応し、情報処理技術者試験にこのほど、ITを活用するユーザー企業の事業部などに所属する人材を対象に情報セキュリティマネジメント試験を創設した。
併せて研究会では、企業などがより高度のサイバー攻撃などの脅威に対応して優れた知識・スキルを持つ人材を調達・配置できる体制を整備するため、実践的な能力を評価できる試験制度の充実を図る必要があるとの判断から、人材の登録・更新制導入を打ち出した。
当面、情報処理技術者試験のうち情報セキュリティスペシャリスト試験やセキュリティ要件を含むレベル4(高度)の試験合格者を対象に、名簿公開を伴う登録を行う。
また、本人が知識・技能を最新の技術状況に対応できるよう、一定年限で登録資格更新試験を実施し“良質な情報セキュリティ人材”を供給できるようにする。
経産省はさらに、企業などが情報セキュリティ管理業務などに充てる担当者の人材について、対応する資格基準などを示したガイドラインを設定することについても、研究会で検討する。
同省は研究会で具体的な検討を進め、早ければ16年夏にも成案をまとめる。細部の制度設定やシステムづくりおよび、周知期間を経て、順調なら17年度にも実施スタートする。ただ、情報処理技術者試験は法律(情報処理促進法7条)に規定された国家試験であり、関連法令改定をともなう場合は実施までもう少し時間を要することになる。