経産省がIT投資評価ガイドラインを公表
07 12/10
経済産業省は、ITが社会基盤として普及したこと受け、経営者がIT投資の投資対効果を判断する目安となる「IT投資価値評価ガイドライン(試行版)」を公表した。複雑化・大規模化する情報システムに加え、技術的な難解さやSaaSといった新たなサービスが登場しており、企業がIT投資効果を正しく図ることが難しくなっている。そこで、ITの投資効果をマネージメントの観点から客観的に評価(チェック)し改善できる指標を明らかにしたもの。策定には日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が協力している。
従来のIT投資は、ハード・ソフトなどコンピューターに関連するものが中心で、投資対効果が図りやすい状況にあった。ところが、セキュリティ対策やIT統制対応、またSaaSのようにアプリケーションサービスの提供手段がライセンスから使用量(オンデマンド)に変化するなど定量的には数値化できない要素が多く含まれるようになっている。
そうした変化に対して経産省とJUASは、「ITのプロではない経営者が、IT投資をいかに捉えるか」という、マネージメントの重要ポイントと経営者が新規投資を評価する場合の重要ポイントを明らかにする観点からガイドラインを策定した。その中には達成度合いを図るチェックリストと改善のヒントを提供している。
まず、経営におけるIT投資マネージメントにより、経営課題とIT投資の位置付けを明確にし、IT投資の意思決定と評価体制を整える方策を記述した。
次に、プロジェクトにおけるIT投資価値の評価を行う。構想・企画段階で投資費用や投資効果など経営戦略との適合を評価することと、開発・実行段階での適合性をチェックする項目を明らかにした。そして事後評価におけるIT投資効果のチェックを行う。
全体的には、工期、品質、生産性、ユーザー満足度という4項目で、1から5まで5段階の評価数値を求めて総合効果を算出していく。
経産省では、今回の試行版を経て第1版を公開する予定で、08年度からはWebによるサービス提供を開始する。ベンチマーク情報を蓄積したところで適宜、公開することにしている。
経済産業省 IT投資評価ガイドライン(試行版)