経産省が高度IT人材育成に向けた報告書を公表
07 7/30
経済産業省は、高度IT人材の育成を支援してIT産業の競争力の強化と生産性の向上を図ることを目的とした、IT人材育成のあり方についての報告書を公表した。ITは産業や生活の支援基盤として導入が進んでおり、その対象とするところは多岐にわたる。ところがシステムを企画、開発、運用するIT人材は、2000年に50万人を突破して以来、1割増にもなっていない不足の状況であることから、具体的な高度IT人材のキャリアやスキルを可視化するとともに、人材育成手法の確立と実践、人材評価メカニズムの構築など早々に取り組むべき対策を明確にした。
今回の報告書は、産業構造審議会の中の情報経済分科会情報サービス・ソフトウェア小委員会人材育成ワーキンググループがまとめたもの。
その中で、IT産業の構造変化を踏まえた人材育成戦略の構築が必要なことと、世界のIT市場はインドと中国のIT技術者数が15年には300万人規模になると推定され日本はローカル市場となることなどを踏まえ、今後目指すべき高度人材育成策を提唱した。
まず、構造変化に対応して変革をリードできる人材の必要性を説いている。そこで人材像を大きく3つに分類し、共有の情報として視覚化した。一つはITと経営の融合を支える「基本戦略系人材」、ITアーキテクチャーの変貌に対応する「ソリューション系人材」、そしてグローバル標準を活用する「クリエーション系人材」となっている。これらのキャリアを7段階に区分して、3段階までは技術者試験の合否でレベルを判定できるようにする。
また、ソフト工学手法やモデリング手法などの実践的で先端的なソフト開発・管理手法の確立を目指す。特に、大学などで文系と理系にITを教える「ダブルメジャー教育」を推進する考えだ。
一方で、客観性の高い人材評価メカニズムの構築を提唱している。そこで情報処理技術者試験とITスキル標準の統合による客観的な人材評価の仕組みを構築するほか、情報処理技術者試験に中に社会人一般に求められる基礎的な知識を問う「エントリ試験」を創設することにした。
こうした人材育成策を推進するために、産学官協同による協議会を9月をめどに設置する予定で、関係省庁や教育機関、学会関係者などの協力を仰いでいくとしている。