経産省が 情報システムの相互運用性実現に指針

07 7/2
 

経済産業省は、政府や公共機関が調達する情報システム間の相互運用を実現するための「情報システムに係る相互運用性フレームワークVer1・0」を公表した。システムの設計から開発、移行、運用、保守というライフサイクルにわたってシステムの相互運用性を確保することで、電子政府の実現を促進させていく考えだ。特に個別機能システムやサブシステム間での情報共有と情報利用を可能にすることを視野に入れており、ベンダーロックイン(ベンダー独自技術依存)を避け、公平な競争入札の実現と、柔軟なシステム構築を目指す。

  公共機関の情報システム調達では、これまでも「情報システムに係る政府調達の基本方針」や「業務・システム最適化指針」「政府調達に関する協定」などで、電子政府構築および情報システム調達のポリシー規定などが明記されてきた。
  今回の相互運用性フレームワークVer1・0は、それらを踏まえてシステムの相互運用性の観点から実践的なガイドラインと留意点を明らかにしたもの。
  相互運用性の効果として、ベンダーに依存しないユーザーインターフェースで利用者の利便性が向上する、開発コストおよび運用・保守コストの軽減が見込まれる、システム統合による全体のコスト軽減につながるなどをあげている。
  今回の大きなポイントは、3種類の分離調達を明確にしたことだ。電子政府の構築にはエンタープライズ・アーキテクチャー(EA)とサービス・オリエンテッド・アーキテクチャー(SOA)の概念を当てはめており、全体最適化を指向している。これに伴い、これまでの一括調達を避け、設計と開発の分離、アプリケーションを含むソフトウェア部分とサーバーなどハードウェア部分の分離、運用と保守の分離という各処理フェーズごとの「分離調達」を強調した。さらに各フェーズの留意点を掲げ、調達で陥りがちなポイントを提示している。
  同省は、「当フレームワークが示す方針や指針に従うだけではまだ不十分」として、分離調達を前提としたシステムの基本設計、機能分割方法、共通部の設計およびインターフェース設計などに関するガイドラインの策定が必要としている。今後は総務省が作成する相互運用性の実務手引書との整合性を持たせていく考えを示した。

 経済産業省 http://www.meti.go.jp/