スマートグリッド構想の実現に新団体を発足
2010 1/1
東京大学の小宮山宏前総長が中心となって発足したフューチャーデザインセンター(FDC)などは、ITで電力網を制御し、環境問題に貢献する次世代電力網のスマートグリッドを実現する「スマートシティプロジェクト」を発足した。活動内容は、実証実験計画と事業計画を同時進行させることでの産業化の模索、具体的検証、広域の電力網に対する全体最適なスマートシティモデルの設計、役割・責任を明確にした企業連合によるスピーディーなプロジェクト化などで、サービスをパッケージ化し、実際に海外都市へ営業活動を行っていく。
プロジェクトの中心的存在のFDCは、東京大学と連携し、東京大学を中心とした次世代環境都市「柏の葉キャンパス」を実証フィールドとして、「現在我々が抱えている環境や資源、高齢化などの国家的な課題を解決して汎用的な「先進モデル」を示して産業化し、新しい雇用を生み出してさらに世界をリードしていく」という思想で活動を展開している。
スマートシティプロジェクトもその一環として行われるもので、発足時はFDCのほかに独SAP社、シャープ、日本HP、三井不動産、日建設計、イーソリューションズおよびジョイントベンチャーのスマートシティ企画が参加している。
CO2排出量削減による低炭素社会の実現という社会貢献的な目的のほかに、実際に各社の持つ技術要素を合せてビジネス化し、先進都市のモデルを地方都市および海外にパッケージごと輸出するという大掛かりな取組みとなっている。
SAPが検針管理ソフト、日本HPが配電管理、シャープが太陽電池、イーソリューションズがプロジェクトの運営などの役割を担う。
現在、環境都市開発事業において、「他国は政府が先導して技術を持つ複数社をそろえ、とりあえず営業をかけるが、日本は政府が動かず、コンソーシアムを設置しても技術的な検証ばかりで遅々として活動が進まずに営業的な大きな損失を被っている」(イーソリューションズ佐々木経世社長)という状況になっている。
現在FDCが計画を立案しているところで、パートナーのノウハウを柏の葉キャンパスで集めており、3月をめどに具体的な活動内容の発表を目指している。
オブザーバーとして東京電力が参加しているほか、現在通信インフラ会社やIT会社、自動車会社大手に声を掛けており、企業の参加を呼びかけている。