富士通が要件定義に新手法を確立
09 10/12
富士通は、システム開発の上流工程で実施する要件定義の精度を高めるための新手法「新要件定義手法」を開発した。新要件定義手法は、同社の経験に基づいたもので、要件定義フェーズでの課題として「要件内容」「合意形成」「マネジメントの品質」を抽出しそれぞれを解決する方法論を確立、ワークシートやデータベースに落とし込んでツール化した。来年度以降、同社およびグループ内の3億円以上のプロジェクトに適用していく。同手法を採用し、上流工程における要件確定の不備をなくすことで手戻りや稼働後の不具合をなくし、赤字プロジェクトの削減を目指す。
システム開発のプロジェクトが赤字化する最大の要因として、上流の要件定義フェーズでユーザーのビジネス要求をしっかりと引き出せず、あいまいな定義のままプロジェクトを進めた結果、手戻りによる追加作業が発生するというパターンが挙げられる。
ITバブル崩壊以降、赤字プロジェクトが減少してきたが、プロジェクトを管理し、赤字化しそうな案件に適切な措置を施すことで全体的には赤字プロジェクトの数は減少したものの、要件定義の問題は解決されていない。業界団体などがガイドラインを出しているが、目に見える効果が出ていないというのが実情だ。
富士通は、要件定義フェーズの問題点として、「要件の目的や要件を決めるべき役割のあいまいさの排除」「経営層、業務部門、情報システム部門が納得できる合意形成」「マネジメント」の3つの課題を抽出した。
そのうえで、「要件の構造化」「因果関係からみた要件の可視化」「要件を成熟させるプロセス」という3つの方法論からなる「新要件定義手法」を編み出した。これらは、「要件の階層構造データベース」「関係分析ワークシート」「要求定義の手順書」「要件評価シート」の各ツールを利用して具現化される。
同社は、これまでも要件定義の書き方や進め方といった、遵守すべき「形式品質」のガイドラインは策定していたが、今回の手法は、ユーザーの経営の目的に合っているかという具合に「内容品質」に重心を置いたものという位置付けだ。
今後は、年度内に設計やテストなどの後工程を含め、一貫性のあるシステム開発手法の全体像を確立する予定としている。
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