IT融合育成連絡会、高度IT人材の育成に提言
14 3/31号
業界団体や有識者などが集まって次世代高度IT技術者のあり方や育成について検討してきたIT融合育成連絡会は、活動の最終成果を公表した。検討した内容は、今後政府施策の創造的IT人材育成に反映させるよう働きかけるほか、情報サービス産業協会(JISA)などの業界団体を通じて普及および育成を図る。また、今後実行すべきテーマとして、「IT融合組織要件評価軸」の策定、普及と個人能力評価のあり方の検討、イノベーションを起動する「実践的学習の場」の構築を掲げ、他団体とも連携して具体的施策の実施につなげるとしている。
2012年、経済産業省の産業構造審議会会情報経済分科会人材育成WGにおいて、次世代型高度IT人材像が定義された。そのなかで、次世代型の高度IT人材はITとビジネスを融合し、新たなイノベーションを創出できる人材と方向付けられた。
これを受けて昨年5月に、情報処理推進機構(IPA)とITコーディネータ協会(ITCA)が中心となり、以前日本経済団体連合会(経団連)で次世代IT人材像についてとりまとめた日本電子計算重木昭信社長を座長として、NTTデータ経営研究所の三谷慶一郎情報戦略コンサルティング本部長、経産省人材育成WG委員長を務めたAITコンサルティング有賀貞一社長など民間/IT企業、団体、学会などが集まり、次世代型高度IT人材に関する議論を行うIT融合育成連絡会を発足した。
最終報告書では、次世代高度IT人材を「融合IT人材」と表現し、「IT融合により価値を創造し、イノベーションを創出する人材」と定義している。融合IT人材には、「価値発見力」と「価値実現力」の2つの能力が求められる。
イノベーションを創出するプロセスにおいては、突出した個人がすべてを決めるのではなく、個人の着想をもとに、多様な専門性を持った人材が協働しながらイノベーションを作り上げていくという手法を提唱している。
融合IT人材を育成するための手段として、実践的な学習の場と前提的な知識を備えた「ファシリテーター」を用意する必要があるとしており、今後業界団体などで場を用意するための支援を行っていく。また、日本においてイノベーションによる社会変革が進まない要因として、芽を摘み取る組織文化があるとし、組織変革のための評価軸(指標)の策定を図る。