日立製作所が体制を刷新 ―新社長に川村氏

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 日立製作所は、社長交代を含めた新人事を発表した。4月1日をもって川村隆日立プラントテクノロジー会長兼日立マクセル会長が会長兼社長に就任し、古川一夫社長は副会長に、庄山悦彦会長は取締役会議長という新設するポストにそれぞれ退く。大幅な体制刷新について庄山会長は、「直面している危機を乗り切ろうという意思を示したもの」とし、川村次期社長は「全身全霊をもって日立の再生に尽したい」とコメントしている。このほかにも日立は赤字幅の大きい自動車部品関連事業と、薄型テレビなどコンシューマ事業の分社化を柱とした構造改革の実施を明らかにしている。

左から庄山前会長、川村新社長、古川前社長

 川村隆次期社長は、電力事業分野の出身で、その後常務、副社長などを経て日立ソフトウェアエンジニアリング会長、日立プラント建設(現日立プラントテクノロジー)、日立マクセル会長などの職を歴任している。
  川村次期社長は1939年生れの69歳で、古川社長より7歳年上になる。さらに子会社からの呼び戻しによる社長就任も異例のことで、庄山会長によると「新しい取締役のメンバーを含めて、ベテランの力に頼った」守備型の人事となる。
  古川社長は、2006年4月の社長就任以来、薄型テレビやHDDといった課題を抱えていた事業の処理や、グローバル化の施策を進めてきた。
  今年度がちょうど3カ年計画の最終年だったが、折からの世界的不況や円高の影響を受けて2008年度のグループの最終赤字が7000億円に達するという状況から、日立の社長職としては短い3年という期間で社長を退くことになった。
  川村新体制では、「社会インフラや社会イノベーション事業に注力」する。具体的には、リチウムイオン電池事業などの環境分野、原子力などの電力、そして情報通信などで、これにより、業績の早期回復ならびに収益性の改善を図る。
  併せて、事業構造改革として、赤字事業のオートモーティブシステム(自動車部品関連)グループとコンシューマ事業グループを、7月1日より分社化することを明らかにした。分社化による「迅速な意思決定や能動的な事業運営、他社とのアライアンス」(川村社長)といった効果により、早期の黒字化実現を目指す。

 

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