日立製作所の次期社長に中西副社長が昇格

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 日立製作所は、4月1日付で中西宏明副社長が社長に昇格する人事を発表した。川村隆会長兼社長は、会長専任となる。川村社長の任期は1年と、同社の社長職としては異例の短さだが、現体制は前年度の約8千億円の赤字という異例事態を受けた暫定体制という色合いが濃く、この1年ですでに“止血”を済ませたとして、通常の体制に戻した。中西副社長は、豊富なグローバル業務経験と、電力、情報通信分野の実務経験を活かして、同社が今後注力するITと社会インフラ事業を軸にした社会イノベーション事業やグローバル展開を推進していく。

 中西宏明副社長は、1946年3月生れの63歳で、川村隆社長と比較すると、次期社長は7歳若返ることになる。
  中西副社長は、1970年に東京大学工学部電気工学科を卒業し、日立に入社した。電力系のエンジニアを経て、日立ヨーロッパの社長、国際情報通信営業本部長などを歴任し、2005年に日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)社会長兼CEOに就任するなど海外経験が多い。日立GSTでは、赤字を立て直したという実績がある。
  その後、2006年に副社長に就任し、2009年には、代表執行役として電力事業、電気事業、都市開発システム事業、オートモティブシステム事業、生産技術担当、モノづくり強化本部長、交通事業強化本部長、品質保証本部長、日立GST会長などを兼任してきた。
  川村会長兼社長は、就任時に「守り60、攻め40の割合」とし、この1年で日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、日立システムアンドサービスの情報子会社3社を含めた上場5社の完全子会社化や、4千億円の増資などによる「止血」を行った。
  これにより、業績が回復の見通しが立ったことと、さらに国際的なビジネス活動を行う際に、会長と社長が1人の体制では、機械損失が生ずるとして、川村会長兼社長は会長に専念する。
  日立は今年で創立100年を迎える。今後は、最大の柱とする社会イノベーション事業分野と、海外ビジネスの経験が豊富な中西副社長を次期社長に据え、攻めに転じる。

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