SI6社がユーザーの非機能要求を見える化するための検討会を発足
08 4/21
NTTデータと富士通、NEC、沖電気工業、日立製作所、三菱電機インフォメーションシステムズの6社は、システム構築時に発生する発注者の「非機能要求」(セキュリティを強化したい、事業継続性を高めたい、品質を向上したいなど)を「グレード」(要求実現レベルの等級)化してできるだけ“見える化”し、発注者とSIベンダー間の認識を一致して手戻りや赤字プロジェクトをなくそうという検討会を新たに設置した。非機能要求をどのように確認していくかを各社のノウハウを持ち寄り具体的な指針を策定していくことにした。
6社が設置したのは、「システム基盤の発注者要求を見える化する非機能要求グレード検討会」で、発注者が求める課題解決項目や漠然とした要求を具体的な実現可能レベルに見える化し、発注者とベンダーの意識を共通にしようというもの。これにより、「開発終盤での手戻りを抑え、両者のリスクを激減させることが可能になる」(富士通弓場英明常務)としている。
非機能要求とは、主にシステム基盤に関連する漠然としたもので、レスポンスなど「性能」のほか、「可用性」「拡張」「セキュリティ」「移行」「運用」という6分野を当面の対象とする。
例えば「情報漏洩対策をしたい」「新システムに移行するに当って現行システムの機能やデータを利用したい」「業務時間中にシステムに関する質問に答える担当者がほしい」などは、発注者もどの程度の対策が必要なのか判然としない。
この6分野をさらに掘り下げ、具体的な項目を決めてグレード化する。これをベースに両者が同じ言葉と認識でシステム化を進めることになる。
これに対して機能要求とは「営業情報をシステムで共有したい」といった業務実現要求を指し、今年3月には大手SI6社が「発注者ビューガイドライン」を完成させて公開したばかり。
検討会は2009年9月までを活動期間とし、今年度上期は6社による事例や知見をまとめて表現方法を検討し、下半期で非機能要求グレードの標準案を策定する。2009年度上期には関連団体やユーザーへの働きかけ普及活動を展開する。
NTTデータの重木昭信副社長は「社会活動やビジネスにICTが直結している現在、SIベンダーの枠を超えた部分で発注者との意思統一が欠かせない」としており、参加したいベンダーや発注者に対して門戸を広げる考えだ。
NTTデータ http://www.nttdata.co.jp/
日立製作所 http://www.hitachi.co.jp/
三菱電機インフォメーションシステムズ http://www.mdis.co.jp/