糸島市/九州大/富士通研、AIで地域移住を支援
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福岡県糸島市と九州大学、富士通研究所は、自ら成長する人工知能(AI)を用いて、地方都市への移住希望者と移住候補地を適切にマッチングさせるための共同実証実験を行う。移住希望者の好みに基づいてAIが適切と考える移住候補地の地域密着情報を提示し、提示された地域の評価を繰り返してもらうことで、移住希望者と移住候補地のマッチング精度を高めていく。移住希望者の好みを学習するにあたり、データが少ない状況でも自律的に成長するAIが徐々に学習していくことで、小規模データからスタートできるAIの構築を目指す。
実験を行う糸島市は、福岡市にも近く、九州大学伊都キャンパスも建設され、海や離島、山がある風光明媚な土地柄で移住希望者が多いとしている。
今回の実証実験は、9月から2017年3月までの予定で行う。糸島市への移住希望者を対象に、糸島市役所および国や自治体の主催する全国の移住・定住支援イベント内ブースで希望者との対話を行うが、集まるデータはビッグデータといえるほどではない。
他方で、地方での暮らしを体験したことがない移住希望者は、移住先への希望を正確に伝えきれないという問題がある。 これらの限られた条件のもとで、自ら成長するAIによって、移住希望者と糸島市担当者とのやりとりをふまえ、数値モデルを修正し、マッチングの精度を高めていく。
実験で糸島市は、移住希望者に移住先の地域性を正しく伝え、気に入り、納得して転入してもらうことで、移住者と周辺住民とのトラブルの防止、生活満足度の向上、地域活動の活発化、住民の転出抑制などに繋げるとともに、職員の業務支援にも役立てていく。
九大と富士通研は、人間の好みや希望といった心理に関する数理モデルとAI技術を融合し、移住希望者のマッチングにとどまらず、多様な社会課題の解決に役立てられるAI技術を開発し、富士通のAI技術「ジンライ」に適用していく。
また実験後も、実際の移住者の声を踏まえた地域移住マッチングAIの精度向上を図ることも視野に入れて活動を展開していく。