日立などが暗号化セキュリティ技術を開発

08 1/1

 日立製作所、東京理科大学、NTTコミュニケーションズの3社・団体は、来るべきユビキタスネットワーク社会において、多様で大量なデータを安全に流通させて保存する基盤技術を開発した。政府は2010年にユビキタスネット社会の基盤が整うとしているが、実現した時の大容量データ対応とセキュリティ対策が欠かせない。今回の新技術は、機密性の高いデータを扱う電子申請など様々なコンテンツサービスシーンで、安心にデータを流通させつつ、分散して保存する暗号化セキュリティ技術となっている。国産のコンテンツ保護技術として期待が高まっている。

 将来の大容量データを安心・安全に使うためにはデータの漏えい防止や著作権が侵されない新たなセキュリティ対策ソリューションが必要になっており、そのための研究開発が進んでいる。
  今回は、日立が低消費電力の暗号化技術とアクセス権限に合せた情報開示型暗号化技術を、東京理科大は低消費電力暗号の安全性評価技術を、NTTコムが効率的な秘密分散技術をそれぞれ開発したもの。
  低消費電力暗号化技術は、日立が自社の高速暗号化技術「ストリーム暗号MUGI」をベースに低消費電力でも稼働可能な「Enocoro」を開発した。AES実装ハードに比べ消費電力を約十分の一に抑えることができる。これにより、携帯端末など小型のIT機器でも高速な暗号化・復号化が可能になる。
  また、各種の申請手続きや健康管理など機密性の高い情報を扱うサービスでは情報共有が進む中での情報漏えいの危険性が高い。そこで、従来のようにコンテンツ単位ではなく、コンテンツに含まれる氏名や職業などの各要素ごとに情報を開示できるようにした。
  一方、データの安全を確保するには、情報を分割して離れた場所に保管し、障害時や利用時はそれらを組み合せて認証、復元する秘密分散技術が有効な手段となる。そこでNTTコムは、安全性のレベルやデータサイズ、処理効率を変更できるアルゴリズムを開発し、長期間にわたる機密性と可用性を実現するとともに、誤り訂正符号を組み合せて分散情報を復元できる技術を開発した。
  これらの新たな暗号化技術を有機的に組み合せることで、コンテンツの流通から利用時、そして保管後の対策というユビキタスネット社会の安全な情報の流通・保存が可能になった。

日立製作所 http://www.hitachi.co.jp/

東京理科大学 http://www.sut.ac.jp/

NTTコミュニケーションズ http://www.ntt.com/