理研などが次世代スパコンのシステム構成を決定

07 9/24

 理化学研究所(理研)とNEC、富士通、日立製作所は、現在のスーパーコンピューターの処理速度であるテラFLOPSの50-100倍に当たる10ペタFLOPSで稼働する次世代スーパーコンピューターのシステム構成を決定した。2006年度から始まった国産次世代スパコンの研究開発を受け、省電力・省スペースでありながら日本独自となるスカラ部とベクトル部を併せ持つ複合次世代スパコンを実現していく。09年度からの詳細設計を受けた製造、2010年度の稼働、そして2012年の完成を目指した開発に着手することになった。

  現在のスーパーコンピューターの世界最高速は、IBM社のブルージーン/Lが持つ280.6ペタFLOPSとなっている。日本では文部科学省が2006年に、スパコンのFLOPS値の基準計算方法である「LINPAK」で10ペタFLOPSを可能にする次世代スパコンの開発プロジェクトを開始、このほどシステム構成を決定したもの。
  日本の特徴は「汎用型次世代スパコン」を前提にしていることだ。IBM社をはじめとしたコンピューターメーカーのスパコンが科学技術計算という特定用途での高速性を重視しているのに対して、日本は科学技術計算だけでなく、複雑系・他階層などのアプリケーションの稼働を想定、さらに、大学などのスパコンセンターへの展開も考慮した万能型のスパコンを意識している。
  これを実現するために、スカラ型とベクトル型の2処理を適材適所で使い分ける複合型を採用した。例えば、超大規模計算にはスケーラビリティと高信頼性のスカラ部を、大容量の高速演算にはベクトル部というようにその用途と資源の有効活用を図る。
  また、LSIの開発には45ナノメートルの半導体プロセスを採用、データ伝送には光インターコネクト技術などを新たに開発し、低消費電力でありながら省スペース、高速処理というスパコンの実現を目指す。
  一方で複合部の制御や共有クラスタリング技術などの「トータルシステムソフトウェア機能」といった次世代スパコンを最大限利用できるソフトの開発などを進める。設計・開発にあたっては理研が中心になり、NEC、富士通、日立の3社が詳細設計を手掛ける

 

理研の発表資料 http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070914/index.html