産総研が書換え可能なLSIを活用したウイルス対策技術を開発

06 12/4

 産業技術総合研究所は、書換え可能なLSI(=FGPA)を活用したコンピューターウイルスチェックシステムを開発した。ネットワークとパソコンや情報家電などどの間に同システムを接続し、機器へのウイルス感染を防ぐ。ハードウェアでウイルスをチェックすることで、これまでのソフトによるウイルスチェックに比べて10倍高速化できる。ウイルスチェックのデータベースからインターネットを通じてリアルタイムにウイルス情報を取り込み、FGPAの内容を書換え、更新する。産総研は3年から5年後をめどに実用化を目指している。

 インターネットおよび常時接続環境の普及により、パソコンを利用する際にウイルス対策ソフトは必要不可欠となっている。ウイルスの発生数と比例して対応すべき定義ファイルも増え、ネットワークインフラの高速化により流通するデータ量も増加している。これらの要因により、年々パソコンのウイルスチェックにかかる時間も増えている。
 こうしたことから、ウイルス対策ソフトの利用は、パソコンの処理速度を下げる(重くなる)要因となっている。また、今後さらなるネットワーク化が予測される情報家電は、ソフトによるウイルス対策ができないためにセキュリティ対策も懸念されているが、今回産総研が開発した新方式のシステムは、これらの問題を解決することができる。
 これまで、ハードによるウイルス対策を行う場合、機能が製品に組込まれるという性質上、新しいウイルスに対応するためにはシステム自体の交換を必要としていたが、書換え可能なFGPAを利用することで問題を克服した。
 外部のウイルス情報のデータベースと通信し、自動的にデータを更新するため、ユーザーへの負担はない。さらに最大10Gbpsの高速通信を流れるデータをリアルタイムでチェックすることができ、ネットワークインフラの高速化にも対応している。
 ウイルス対策をソフトで行う場合は、ユーザーのパソコン内に一度ファイルを取り込んでからチェックを行うという方式のため、チェックが済む前にパソコンがウイルスに感染してしまうケースがあった。新システムは、パソコンに侵入する前の段階でハードによりウイルスをチェックするため、時間差によるウイルス感染を防止できるというシステム上のメリットもある。
 

産業技術総合研究所 http://www.aist.go.jp/