NECが144テラFLOPSのスパコンを発売
06 10/30 NECは、処理性能が144テラFLOPSというベクトル型スーパーコンピューター「SX―8R」を世界同時発売した。1CPU当り35.2ギガFLOPS(浮動小数点数演算)の性能を持つベクトルプロセッサーを開発、これを最大4096個搭載したもので、ベクトル型スパコンでは世界最高速となる。科学技術計算などスーパーパフォーマンスコンピューティング(HPC)の世界は、並列に接続したCPUで高速計算するスカラー型が主流になっているが、科学計算にはベクトル型が適していることと、スパコンへの高速処理ニーズの高まりなどを受けて製品化した。
ベクトル型スパコンは、科学計算など多数の演算を一括で同時に処理するもので、従来機種のSX―6は地球シミュレータなどに採用されている。地球シミュレータは今年のスパコントップ500の中では35ギガFLOPSで10位だった。
NECが新たに開発した世界最速のプロセッサーは、ベクトル加算器と乗算器をそれぞれ2つに増やして1チップで従来の2倍以上となる35.2ギガFLOPSを実現した。1ノードには最大8CPUを搭載、281.6ギガFLOPSを可能にしている。
また、1ノード当りのメモリー容量を256ギガバイトに倍増したほか、CPUとメモリー間のデータ転送速度を最大で毎秒288テラバイトに向上させた。これにより最大512ノード(4096CPU)時に144テラFLOPSの処理が可能になった。
科学技術計算などスパコンを必要とする分野では、大規模化する問題の解決と開発期間の短縮が求められており、処理性能向上に対するニーズがさらに高まっている。
HPC市場を見ると、スカラー型が主流となり処理性能の向上に各社がしのぎを削っている。しかし、1CPUの処理がベクトル型に比べて劣るスカラー型では、高速処理を実現するためにCPUの増設というコストがかかる。
今回のSX―8Rは、そうしたHPC市場に月額のレンタル料金約121万円からという高コストパフォーマンス製品として提案していく。
同社は現在、1CPU当りの性能が100ギガFLOPSを超える1チップベクトルプロセッサーなど次期ベクトル型スパコンの開発に着手しており、HPC市場でコストパフォーマンスの優れたスパコンの提供を目指していく。
NEC http://www.nec.co.jp/