総務省がIP回線の競争ルールを公表

06 7/17

 総務省は、IPネットワークが急速に進展していることを受け、キャリアーやISPなどが適正なサービスをユーザーに提供できるように、かつ、特定企業に有利にならないような競争ルールの策定などについて報告書案をまとめた。中でも固定電話網のNTT東西や携帯電話のNTTドコモの占有率が高いことから、公正な競争確保措置が必要と判断、他事業者への回線開放などをうたっている。通信事業者が公平な競争ルールに則って、ユーザーの選択肢とサービス向上を図ることがIPネットワークの進展に欠かせないための措置としている。

 今回の報告書案は「新競争促進プログラム2010」と題したもので、総務省が昨年10月に設置した「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」(座長・林敏彦放送大教授)がこれまで検討してきたものをまとめている。今年9月には報告書案への意見を踏まえて正式な報告書として取りまとめる予定となっている。
 報告書案では、IP化の進展に伴う競争環境の変化と競争ルールの見直しが必要との前提で、競争政策に関する基本的な考え方や、今後の接続政策のあり方、料金政策のあり方などについて言及している。
 ブロードバンド時代のビジネスモデルをパケットと音声通信、有線と無線、コンテンツサービスなどが統合された「垂直統合型」に進化するとして、このときに地域通信市場を占有するNTT東西が持つ設備を競合他社が利用できるように開放して競争を促進できるルール作りと環境を整えたい考えだ。
 競争ルールの策定にあたり、NTTグループは固定電話網と携帯電話など移動通信網を融合した「フィックスド・モバイル・コンバージェンス(FMC)」サービスを提供することから、両者の市場支配力が競争阻害的な要素の拡大につながる懸念があるとしている。
 そこで新競争促進プログラムは、競合他社、特に自ら無線設備を持たずに通信サービスを展開する「モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター(MVNO)」の進出を促し、新たなビジネスモデルの創出に期待をかけ、IPネットワーク市場の発展を促すことになる。そのためにも、NTT東西およびドコモに対して、他事業者に回線を開放して同等の条件で接続する必要があることをうたった。

 総務省 http://www.soumu.go.jp/