富士ソフトがソフト開発へのモデル検査ツール適用を拡大
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富士ソフトは、組込みソフト開発の品質向上のため、開発プロジェクトへのモデル検査ツールの適用を拡大する。同社は、組込みソフト開発で一般的に利用されている状態遷(せん)移図をベースとしたモデル検査ツールを自社開発し、これまで一部のプロジェクトに適用していたが、昨年末の同プログラムの特許取得を機に、ツールのソフト開発プロジェクトへの適用を増やしていく。現在、安全規格の国際規格(ISO)化や、国内でのソフトウェア品質監査制度の実施に向けた動きなどがあり、今年はツールの採用による品質確保の取組みが業界的に強化されるとみられる。
組込みソフト開発では、製品におけるソフト制御の割合と開発量そのものが増大しており、それに伴って組込みソフトの品質をいかに確保するかという問題を抱えている。そこでソフト開発手法の効率化と同時に、自動車分野をはじめとして安全性に考慮したソフトウェア開発手法の適用が加速している。
国内での動きをみると、情報処理推進機構のソフトウェア・エンジニアリング・センター(IPA/SEC)が、「ソフトウェア品質監査制度」(仮称)を検討し、来年度以降の監査制度の開始を予定している。
これと連携する形で、経済産業省の委託事業として「TERAS(ツール・エンビロンメント・フォー・リライアブル・アンド・アカウンタブル・ソフトウェア)」において、組込みソフトのトレーサビリティを確保するための各種開発ツールを連携させるオープンプラットフォームの開発プロジェクトも動き出している状況だ。
同時に、システム開発の上流工程で信頼性を担保する形式手法やモデルベース開発手法の採用が進んでいるが、これらの開発ツールは習得が難しく、主要な製品は価格が高いという問題もある。
一方で富士ソフトは、組込みソフト開発ツールとして利用率が高い状態遷移表をベースに、設計書からモデル検査プログラムを自動生成するモデル検査支援ツールを07年に開発し、携帯電話の内蔵アプリケーションやデジタルテレビの通信モジュールなど20件の開発に適用してきた。
この「モデル検査支援装置及びプログラム」はモデル記述言語などの特別な知識がなくても利用できるもので、特許の取得を契機に、特に品質が重要視される組込み分野に加え、エンタープライズ系でも、業務ワークフローシステムの検証などで適用範囲を拡大していく見込みだ。
今後富士ソフトは、メーカーに対するモデル検査の受託サービスや、ツールの販売も視野に入れ、高信頼性ソフト開発サービスに注力していく。
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