グーグルがモトローラの携帯電話事業を買収

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 米グーグル社は、米モトローラ・モビリティ社を125億ドル(9500億円)で買収すると発表した。買収金額は、同社として過去最高額となる。グーグル社によるハードメーカーの買収は初で、米アップル社のようにOSからモバイル端末まで自社の技術でまかなえるようになる。今回の買収は、アンドロイドプラットフォームを中心とした携帯電話事業を展開していく上で障害になっているアップル社やマイクロソフト社などとの特許がらみの訴訟対策で、これまでモトローラ社が電話事業において取得してきた1万7千件以上の特許を必要としたと見られている。

 米モトローラ社は携帯電話端末メーカーとして老舗だが、近年では携帯端末事業は収益が落ち、今年1月に携帯電話やスマートフォンの事業部門がモトローラ・モビリティとして分社化された。日本では、auからアンドロイドを搭載したタブレット端末「XOOM(ズーム)」が発売されているが、スマートフォンは発売されていない。
 買収する側のグーグル社は、これまでも台湾HTC社や韓国サムスン電子に開発を委託して自社ブランドのスマートフォンを開発していたが、今回の買収で、完全にOSから端末まで1社での垂直統合モデルが実現する。
もともとモトローラがアンドロイド端末の開発に力を入れてきたこともあり、今回の買収によってこれまでアンドロイドを積極的に活用してきた他の携帯端末メーカーとの関係性が微妙になることが予測される。
 オープン戦略によって世界中のメーカーを取り込んだことで、アンドロイドは現在スマートフォンOSとして世界で最もシェアを持つに至っている。しかし1社統合となると、アンドロイド普及の一端を担わせておきながら、市場を押さえたタイミングで自社の端末以外には不利な制約をかけ、利益を自社に誘導するという見方もできなくはない。

    そのため、グーグル社は、モトローラ・モビリティは独立した部門として存続させ、アンドロイドはこれまで通りオープンOSという立場を維持することを明らかにしている。加えて、アンドロイドのエコシステムを守るために、電話事業で長年の実績を誇るモトローラが所有する多くの特許資産が今後必要になるとの見解も示している。